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2020年6月14日(日)

主張

2次補正予算成立

コロナ対策の国会を止めるな

 安倍晋三政権が新型コロナウイルスの感染拡大に対応するとして編成した2020年度の第2次補正予算が成立しました。補正予算には、医療、雇用、中小業者、学生への支援などで一定の拡充策が盛り込まれました。一方、予算の3分の1にあたる10兆円を使途を定めない予備費にしたことは、大問題です。日本共産党は、財政民主主義の根本を揺るがすやり方には賛成できないとして、その一点で補正予算に反対しました。補正が成立しても「第2波」への備えをはじめ国会審議はさらに必要です。コロナ対策の強化のために通常国会の会期を延長すべきです。

巨額の予備費は大問題

 一般会計31兆9114億円に上る第2次補正予算は、4月末に成立した第1次補正予算が事態の深刻さに見合っていないため、改めて編成されました。医療・検査体制を強める財政措置の拡大、家賃支援給付金、雇用調整助成金の上限引き上げなどが盛り込まれたのは、国民世論と野党の国会論戦の力によるものです。これらの対策は、1次補正でもっと早く実現すべきでした。国民の切実な声に背を向け、早めの対策を講じなかった安倍政権の姿勢が問われます。

 また、雇用や医療・検査、教育への支援なども2次補正では、まだまだ不十分です。対策のスピードの点でも問題だらけです。1人10万円の給付も多くの国民に届いていません。後手後手に回る中で、解雇や雇い止めなど雇用情勢の悪化は進み、コロナ関連の倒産も深刻化しています。対策のさらなる強化と迅速化は待ったなしです。

 重大なのは、2次補正で10兆円もの巨費を予備費にしたことです。財政支出は国会の事前の議決によるとする、憲法の定める財政民主主義の大原則に反します。

 野党からの批判を受け、麻生太郎副総理・財務相は財政演説(8日)で、10兆円の約半分は雇用、医療などに充てると大枠を示しました。そうであるなら予算案を修正して、明確に予算化して国会で議決するのが筋です。残りの5兆円の使途について麻生氏は「適時適切」に国会に報告すると述べました。しかし、それで白紙委任はできません。5兆円は削減して、速やかに第3次補正予算案を編成し、国会に提出することこそが財政民主主義の本来の姿です。

 巨額の予備費が、安倍政権が通常国会を延長せず、臨時国会も開かないことを可能にしている点も見過ごせません。コロナをめぐる状況は、「第2波」に備えながら経済・社会活動を再開するという新たな局面にあります。医療・検査でも、暮らしと雇用でも解決が急がれる問題は山積しています。コロナ対策に万全を期すために、17日に閉会予定の通常国会の大幅延長は不可欠です。国会を止めてはなりません。

国会の会期延長が不可欠

 コロナ対策予算の執行をめぐっても深刻な問題が噴き出しています。持続化給付金事業の委託事務をめぐる疑惑は不透明さが増すばかりです。観光での消費喚起を狙った「Go Toキャンペーン事業」についても疑念が持たれています。安倍政権は国民の疑問にこたえるべきです。野党に追及されることを避けるため必要な審議をせず、疑惑の幕引きのために国会を閉じることを企てる安倍政権の身勝手さは絶対に許されません。


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