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2020年5月26日(火)

ショートステイの施設見つからない

「命綱」守る補償必要

共産党、介護事業所と懇談

 「虐待案件であっても新規ショートステイの受け入れ先を見つけるのが困難」――新型コロナウイルス感染拡大の中、日本共産党千葉県西部地区の椎葉寿幸地区委員長と丸山慎一前県議が行った千葉県内の介護事業所との懇談では、切実な声が寄せられました。(和田育美)

千葉

 懇談した3事業所は、居宅介護支援を行います。「ショートステイの新規利用者を受け入れる施設が激減し、探すのが本当に大変だ」と口々に訴えました。

 ある家庭では、コロナ禍で仕事が忙しくなり、疲れから認知症家族に暴力を振るうケースが発生しました。事業所は虐待案件としてショートステイ先を探しましたが、認知症の人に微熱があったため、受け入れ先が見つかりませんでした。ようやく受け入れ先を見つけましたが、2週間、施設内の別室で隔離され過ごしました。

 妻が要介護5で寝たきり状態、夫が認知症だという夫婦は、東京で暮らす娘が通いながら2人の生活環境を支えていました。コロナで東京からの往来が難しくなり、事業所がショートステイ先を探しましたが、新規入所者を受け入れる施設は見つからず、夫婦2人の生活が続いています。

 200人の利用者を抱える事業所は、自粛による利用休止が10件ほどありました。「行きたくないと言う利用者に無理に勧めることはできない」「感染しない保証もない」という一方で、「利用者との信頼関係を築き始めていたところで休止になってしまう。AがダメだからBと単純に代替案が出ないのが介護です」と話しました。

 厚生労働省はデイなど通所サービスに代わり、自宅を訪問し、個別サービスを提供した際、事業所が介護報酬を算定できるとする通知を出しています。「デイ利用を控え訪問サービスに切り替えたとしても、自宅で過ごす時間が増え、家族の介護負担が増えます。事業所側も1回の訪問に対する報酬は通所サービスより下がる」といいます。「介護事業所にコロナ前の利用者分の報酬がせめて補償されれば」と話しました。

 ある事業所は「介護疲れによる虐待ケースではショートステイが命綱」と訴えます。感染者が出た際のゾーン設置のガイドラインや、対応できる人材、資金の十分な補償があれば「安心して受け入れることができる」といいます。「国はそこにお金を注いでほしい」

共産党の提案

 新型コロナ対策に関して日本共産党は介護分野で次の提案をしています。

・感染の疑いがある利用者を訪問する場合の対応などを事業所任せにせず、国の責任で自治体や保健所に相談できる体制を早急につくる。感染の疑いがある場合は介護労働者も利用者も必ず検査を行い、介護を続けられるようにする

・新型コロナウイルスに対応した事業所の従事者への特別手当創設

・事業所の感染対策の必要経費を補償する

・不足しているマスク、防護服、消毒液などを病院と同等に優先的に供給する


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