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2020年5月26日(火)

きょうの潮流

 太陽王と称されたフランスのルイ14世は内政や外交も統治する宰相でもありました。みずからを神の代理人として国民の財産、自由、生命さえ、利用してかまわないと信じていました(『フランス史』)▼かの言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家なり」は、絶対王政のあり方を示すことで知られます。元検事総長らにそれを例えられたのが安倍首相です。近代国家のかたちを否定し、思うがままに権力を握ろうとする姿が重なったからでしょう▼先月7日から出されていた緊急事態宣言が全国で解かれました。アベノマスクに象徴されるように、この間の政府の対応は国民から批判され続けました。コロナ禍で営みや職を失い、生活苦にあえぐ人々に寄り添ってきたのかと▼くらしと命に直結する状況のなかで国民の政治意識は高まり、政権の不誠実が不信をひろげています。内閣支持率は2割台に急落。苦難のもとで優雅にふるまう動画は「まるで貴族」と反感を買いました▼亡霊のようなルイ14世の言葉をほうふつとさせる姿勢を国会でも追及された安倍首相。そのとき間違えて口にした「ルイ16世」は最後の絶対君主でした。在位中にフランス革命が起こり、王政の崩壊は後世に大きな影響を与えた「人権宣言」につながりました▼為政者ではなく、国民の声が政治や社会を動かす―。その幕開けとなった革命を目の当たりにしたドイツの詩人ゲーテは、こんな言葉を残しています。「ここから、そしてこの日から、世界史の新たな時代が始まる」


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