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2020年5月23日(土)

新型コロナ感染防止 ベトナムの教訓(上)

首相インタビュー 生命第一に共感と信頼

 ベトナムのグエン・スアン・フック首相は21日、ハノイで本紙を含む外国メディア4社のインタビューに答え、新型コロナウイルス感染症に対する同国の取り組みと成果について語りました。(ハノイ=井上歩、写真も)


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(写真)1954年中部クアンナム省生まれ。官房長官、副首相を経て2016年7月から現職。ベトナム共産党政治局員。

 私たちは新型コロナウイルス対策の初期段階でとても喜ばしい成果を得られました。多くの要因が合わさってのことですが、最も重要だったのは、発生を早期に認識し、断固として強力な対策をとったこと、人間を中心に置き、国民の支持と共同行動を得られたことだと考えています。

遅滞なく決然と

 新型コロナウイルスは感染拡大が速く、ワクチンや治療薬もまだなく、前例のない特別に危険な感染症でした。ベトナムは経済的に対外開放・国際統合が進んでおり、ウイルス侵入の危険が非常に高いことを私たちは早期に認識しました。

 私たちは、受け身にならず主体的に情勢を把握すること、感染症の現実と国の実力に合致した対策を遅滞なく決然ととることを指導(政策)理念としました。

 ▽政治と社会共同体の総合力を発揮する▽感染拡大防止を優先する▽決して油断しない―ことなどを方針に、周到にシナリオを用意し、包括的な対策を作成しました。入国制限と社会的隔離を断固実施し、侵入と市中での拡大を効果的に阻止しました。

 ベトナムの党と政府はずっと、一人ひとりと社会全体の健康を貴重な資本だと考えてきました。私たちは、危険な感染症だと判断するとすぐ、短期的な経済的利益を犠牲にしても人びとの命と健康を守るために感染拡大防止を優先する、と決断しました。この決定は民心と合致しており、国民は社会的隔離をはじめ対策や方針を真剣に実施して、その支持を示しました。

人間的な理念に

 国民の健康と生命を第一に置いた人間的な理念は、国民に大きな共感と信頼を生みました。人への思いやり、国を愛する心などの国民の基本的価値観が発揮されました。

 ◇

 新型コロナ対策で注目を集めるベトナムの経験と教訓を探ります。(つづく)

ベトナムの感染状況と対応

 1億人近い人口規模の国で最も被害を抑えており、政府発表によると入国検疫含む感染者数(22日午前)は計324人(市中感染140人)。266人が回復し、死者は1人も出ていません。対策は1月末から段階的に実施。4月1~22日まで外出や経済活動を制限する社会的隔離措置がとられました。市中感染は4月17日以降、発生していません。


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