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2020年5月18日(月)

主張

河井前法相の疑惑

説明責任逃れは許されない

 昨年7月の参院選広島選挙区での自民党・河井案里参院議員陣営の公職選挙法違反事件は、夫の克行前法相(衆院議員)が地元の地方議員らに現金を渡した買収疑惑として深まりをみせています。検察当局は克行氏の立件を視野に入れたと報じられています。同事件はすでに秘書が逮捕・起訴されました。選挙を取り仕切ったとされる克行氏が現金を配ったとなれば、議席をカネで買う行為に国会議員が直接手を染めていたという極めて深刻な事態です。議員の資格に関わる大問題の徹底解明は不可欠です。克行氏を重用した安倍晋三首相の責任も問われます。

議席をカネで買った疑い

 河井陣営の公選法違反は昨年10月、週刊誌報道で発覚しました。車上運動員に法律の規定を超える報酬を支払った買収の罪で案里氏の公設秘書ら2人は今年3月に起訴され、現在公判中です。禁錮以上の有罪が確定し、裁判所が連座制の適用を認めれば、案里氏は議員の資格を失います。

 同事件の捜査の中で浮上してきたのが、克行氏による買収疑惑です。案里氏の選挙に際し、票の取りまとめを依頼する目的で、地元の県議、市議、首長らに現金を配ったというものです。検察当局は、これらの地元政界関係者の任意聴取をすすめ、県議会棟の控室などの家宅捜索も行われました。4月初めには安芸太田町長が現金を受け取ったことを認めて、辞職しました。5月の連休中には河井夫妻も任意で事情聴取をされたといわれます。

 複数の地方議員のメディアへの証言では、克行氏は昨年4月の統一地方選前後に「陣中見舞い」「当選祝い」などの名目で数万~数十万円を渡したとされます。案里氏が持参した場合もありました。総額はかなりの規模とみられます。

 その時期は、案里氏の参院選出馬が決まっていました。地方選の「陣中見舞い」などとはいえず、直後に控えた参院選で案里氏の票の取りまとめを依頼するためのものだった可能性が濃厚です。公平であるべき選挙を国会議員がカネの力でゆがめていたとなれば、まさに言語道断です。克行氏は昨年秋の疑惑発覚後、法相を辞任しましたが、国民に説明する姿勢が全くありません。河井夫妻は事実を語り、議員を辞職すべきです。

 現金の出どころも問題です。案里氏の選挙前、自民党本部から河井夫妻の選挙区支部に計1億5000万円の資金が振り込まれたことが明らかになっています。他の自民党候補とは、けた違いの資金の投入は、安倍首相の指示なしにはできないと指摘されています。案里氏を官邸主導で選挙に担ぎ出し、てこ入れした首相や菅義偉官房長官らは一連の経過を説明すべきです。克行氏は首相補佐官を務めるなど安倍首相の側近の一人です。克行氏を法務行政をつかさどる法相に就けた首相の任命責任は免れません。

検察庁法改定強行は論外

 安倍政権が今国会で強行をたくらむ検察庁法改定案は、時の政権が検察人事に介入できる仕組みづくりです。検察の独立性を侵し、政権の意向に沿わない検察の動きを封じ込めるための法改定など論外です。安倍政権で相次ぐ「政治とカネ」「政権私物化」疑惑の徹底追及とともに、検察庁法改定を阻止することは焦眉の課題です。


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