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2020年5月17日(日)

主張

検察庁法改定案

強行許さぬの声さらに大きく

 安倍晋三・自公政権が15日の衆院内閣委員会でもくろんでいた検察庁法改定案の採決を、日本共産党、立憲民主党、国民民主党など野党のたたかいで断念に追い込みました。短期間で一気に広がった国民の反対世論の力です。しかし、安倍政権は改定案を押し通す姿勢を変えていません。その意思を完全にくじくまで反対の声をさらに広げることが必要です。

「朕は国家」彷彿の首相

 検察庁法改定案に反対する声は強まる一方です。

 15日には、元検事総長の松尾邦弘氏ら検察OBが改定案に反対する意見書を森雅子法相に提出しました。これは、異例中の異例です。

 意見書は、改定案の発端となった黒川弘務東京高検検事長の定年延長を、検察庁法に基づかず、法的根拠がないと指摘しています。

 その上で、安倍首相が黒川氏の定年延長を法解釈の変更で行ったと国会答弁したことについて「フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ14世の『朕(ちん)は国家である』との言葉を彷彿(ほうふつ)とさせる」もので、「近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない」と批判しています。さらに「政治思想家ジョン・ロックは『法が終わるところ、暴政が始まる』と警告している。心すべき言葉である」とも強調しています。文字通り首相は「心すべき」です。

 改定案は、現行の検察庁法では規定していない検察幹部の勤務延長を認め、その判断を内閣や法相に委ねることで、その人事に恣意(しい)的な介入・干渉ができるようになっています。そうなれば行政権力の巨悪にメスを入れる検察の役割が果たせなくなる危険とともに、不当な国策捜査の恐れも生まれます。検察OBの意見書は、時の政権の圧力で起訴に値する事件が不起訴とされ、起訴に値しない事件が起訴されるような事態になれば「日本の刑事司法は崩壊する」と警告しています。

 改定案反対の声は、引き続きSNSでも広がっています。15日は内閣委の質疑を中継する衆院のホームページの閲覧が一時、不可能になるほどアクセスが集中しました。俳優の小泉今日子さんもツイッターに「#検察庁法改正案の強行採決に反対します」を付けて「国会中継見てます」と投稿し、検察OBの意見書も紹介して「泣きました。そして背筋が伸びました。こういう大人にわたしはなりたい」と書き、反響を呼んでいます。

 15日には国会前で強行採決反対の行動も取り組まれ、抗議の声はコロナ対策で窓が開けられた委員会室に響きました。

 反対世論の大きさを前に自民党内でも矛盾が広がっています。衆院内閣委委員だった同党の泉田裕彦議員は強行採決すれば退席する意向を示し、委員を外されました。一方、内閣委の審議中にタブレット端末で動物のワニの動画を見たり、小説を読んだりしていた同党議員がいたと報道(「毎日」16日付)され、堕落ぶりもあらわです。

心ある国民すべてが

 検察OBの意見書は最後に「与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない」と呼びかけています。安倍政権の暴挙許すなの声をいっそう大きくする時です。


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