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2020年5月12日(火)

きょうの潮流

 きょう5月12日は、近代看護の創始者、フローレンス・ナイチンゲールが生まれてからちょうど200年。公衆衛生の抜本的な改革にも取り組みました▼ナイチンゲールの名を一躍有名にしたのは英仏がロシアと争ったクリミア戦争(1853~56年)です。イギリスから看護団を率いてコンスタンチノープルの対岸のスクタリにある病院に着くと、患者であふれていました▼懸命な看護にもかかわらず、病院で息を引き取った兵士のうち、戦傷によるものが4000人。これに対し、感染症(コレラが中心)で死んだのは1万9000人にのぼりました。3週間に医師が4人、看護師3人が亡くなっています▼ナイチンゲールは雑役兵に、病室の床板をみがき、便器代わりに病棟に置かれた木製のタライを時間ごとにきれいにするよう命じ、ボイラーを購入して洗濯場をつくるなど、清潔な環境づくりに力を尽くしました▼必要な補給品が目と鼻の先の倉庫にあるのに、軍のあしき慣習で届きませんでした。このとき一人の女性が力を発揮した、と同時代のマルクスが書いています。「誰一人自分の責任で緊急の必要に応じ、しきたりを破って行動する気力のある者はいなかった。それをあえてやった人物こそ、ミス・ナイチンゲールだった」▼手洗いの奨励、窓による自然換気、密集を避けるための病床空間の確保、正確な病院統計の必要など、ナイチンゲールの衛生思想は徹底していました。今に生かせる提言、実践が多いことに驚かされます。


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