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2020年5月11日(月)

手作りマスク 1日約800枚

医療従事者に無料配布

イラク北部キルクーク

政府に予算拡充訴え

 【カイロ=秋山豊】イラク北部キルクークで、医療従事者らに手づくりのマスクを無料で届けるグループがあります。メンバーは新型コロナウイルスの危機のもとで、人手も薬も足りない医師や看護師の助けになろうとしています。


地図:イラク・キルクーク

 グループは1日約800枚のマスクを8人でつくり、ほか25人が配達担当です。涙を流して受け取る看護師もいたと言います。

 支援活動は初めてというジヘン・アネンさん(38)は電話取材に、「私たちを守ってくれる医師や看護師に感謝します。私の人生は戦争と暴力、破壊の日々でした。マスクを縫って誰かを救えるのは幸せです」と語りました。イラクは過去40年、度重なる戦争と暴力、経済制裁で不安定な状況にさらされてきました。

 活動の提案者、ナディア・アザウィさん(45)は「私たちの苦しみと同じ思いを誰にもさせたくない。人道主義と助け合いが最も大事ではないでしょうか」と問いかけます。

 彼女の息子は、米国などによるイラク侵略戦争の混乱が生んだ過激組織ISに撃たれました。命は助かりましたが障害が残りました。十分な治療を施せる医療施設がありませんでした。

 イラク医師会幹部ナソ・アジュボリさん(45)は、医療危機だと指摘し、紛争の影響による医師の国外流出や深刻な医薬品不足などを挙げます。

 アザウィさんは「コロナウイルスの流行は、世界の紛争地の苦しみも示しました。戦争と暴力を終わらせ、文化や信仰、肌の色の違いに関わらず、他者を愛し、尊重し合う世界にしようと訴えたい」と語りました。

 政府は、コロナウイルス感染者に接触した医師らに月50万イラク・ディナール(約4万5000円)の手当の支給を決めました。アジュボリさんもアザウィさんも、医療を守るには不十分として大幅な予算拡充を訴えます。


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