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2020年5月10日(日)

きょうの潮流

 その本は長く出版を許されなかったそうです。『戦争は女の顔をしていない』。ベラルーシ出身の女性ジャーナリストが第2次大戦でソ連軍に従軍した女性たちの声を集めました▼当時、大祖国戦争と呼ばれたナチス・ドイツ戦に100万をこえる女性が参加。医療や衛生のみならず兵士としてたたかいました。過酷な戦争体験をつづった内容は祖国を中傷しているといわれ、世に出すことを拒まれてきました▼5年前にノーベル文学賞を受けたジャーナリストの主著は日本でも出版され、漫画にも。男中心の軍隊のなかで味わう女性の苦悩や屈辱とともに、人間の悲惨が凝縮された独ソ戦の姿をも描きます▼民間人をまきこみ、数千万もの命が犠牲となった両国の絶滅戦争は、ヒトラーが「皆殺しの闘争」と形容したほど。『独ソ戦』の著者、大木毅さんは「両軍の残虐行為は合わせ鏡に憎悪を映したかのように拡大され、現代の野蛮ともいうべき凄惨(せいさん)な様相を呈していった」と▼ロシアでは毎年5月9日に戦勝を祝う式典が開かれます。75周年の今年はコロナ禍で大規模な行事は延期されましたが、この日は国威発揚の場にもなっています▼一方、ドイツでは8日がナチスから解放された記念日。シュタインマイヤー大統領はコロナ危機をともに担うことができるものへの強い信頼を胸に迎えた、そこに大きな進歩を遂げてきた証左があると。国同士が争い無数の命が奪われた過去から、互いの国民の幸せを考える時代に。歴史から学ぶときです。


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