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2020年5月9日(土)

きょうの潮流

 「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」。イタリアを代表する作家パオロ・ジョルダーノさんの問いかけです▼物理学の博士号をもつ彼は、コロナ禍が過ぎたあとも忘れたくない物事のリストをつくっています。元に戻ってほしくないこと、これからどう生きていきたいのかを考えながら。まずは自分で、そしていつかみんなで…(『コロナの時代の僕ら』)▼原因不明の肺炎が中国・武漢で確認されてから5カ月。世界を恐怖と苦難に陥れた感染症の大流行は、次に来る世を創造する機会になりました。フランスの歴史家は「歴史は大きな危機のあと、決して時間の括弧(かっこ)が閉じられないことを教えている」(『世界』最新号)▼日本でも緊急事態が宣言されてから1カ月が過ぎました。大型連休が明けてもつづく長期戦。政府は改めて感染予防や働き方を示した「新しい生活様式」を呼びかけますが、苦しむ人びとへの支援や補償は遅れたまま▼長崎大の山本太郎教授は文明が感染症拡大の「揺りかご」と称される歴史を振り返りながら、それは私たちにどう生きるのか、どういう社会をめざすのかを問いかけていると指摘します。人類の未来に向けて▼社会変革のさきがけともいわれる感染症。いま新しい価値観や羅針盤が求められています。人間らしく生きられる希望ある社会へ。それは、統制された国家に定められるものではなく、開かれた社会のなかで市民の声によってつくられるはずです。


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