2020年5月8日(金)
きょうの潮流
毎日が9月12日。米中央情報局(CIA)施設の奥深くにある窓のない部屋に、こんな言葉が掲げられているそうです。訪れた元米政府高官が米誌『アトランティック』(4月6日電子版)への寄稿で明かしています▼著者はオバマ政権で国家安全保障担当副補佐官を務めたローズ氏。2001年9月11日にニューヨークで起きた世界貿易センタービルへの旅客機突入を目撃しました。恐怖と怒りに駆られ、対テロ戦争を支持しました▼その後明らかになっていくイラク戦争の破綻、米兵による虐待事件…。「私は間違っていた」。「毎日が9月12日」という感情に押し流されていたと記しています▼ローズ氏には、国民のナショナリズムや怒りを悪用し支持を得ようとするトランプ政権は誤りを繰り返しているように映ります。新型コロナウイルスが襲う中でも、国防総省予算に国務省や海外援助経費の合計の13倍もつぎ込み、核兵器近代化計画は1兆ドル(約106兆円)。「優先順位を変えなければならない」「9・11で始まった歴史を終わらせるときだ」と提言します▼米軍準機関紙「星条旗」(4月2日付)は「ウイルスは国防戦略の再考を迫っている」との論説を掲載。「現在の危機で必要なのはN95マスクであってF35戦闘機ではない」と強調します▼F35などの米国製兵器を爆買いし、辺野古への米軍新基地建設に固執する安倍政権。一方の米国では、新たな危機と苦闘しながら、安倍政権を置き去りにするかのような模索が始まっています。








