2020年5月3日(日)
きょうの潮流
85歳の母は故郷で1人暮らし。地元の共産党議員や近所の人に助けられ、いつもと変わらぬ日々を送っているようです。帰省がままならない今、人の善意が以前にもまして心にしみます▼新型コロナウイルスとのたたかいは長期戦に。その厄介さの一つは、人と人を遠ざけることにあるでしょう。取材はもっぱら電話やメール、オンライン。会えないもどかしさに、人間が社会的動物であることをつくづく思い知らされます▼そんな中、ETV特集に登場したイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリさんの言葉は示唆に富むものでした。『サピエンス全史』の著者でもあるハラリさん。コロナウイルスに対する人間の強みは協力できることだといいます▼嵐はいずれ終わる。結末を選ぶのは私たち。自国優先の孤立主義や独裁を選ばず、情報を共有し連帯して危機に立ち向かえば、人類が真実を信頼して強く団結した種になれた時代と位置づけられるはずだ、と▼分断か連帯か。コロナ危機を前に、日本でも大きな連帯が広がっています。イベント自粛で大打撃を受けた文化・芸術関係者の政府への要請行動。アルバイト収入が減り、学費が払えなくなった学生たちの「一律学費半額を求めるアクション」…▼ネット上で有名無名の多彩な人が歌う「上を向いてプロジェクト」にも勇気づけられます。演出家・宮本亞門さんが患者や医療従事者の人たちを励まそうと始めました。ハラリさんも「病院で働きベッドのシーツを変える看護師こそ英雄」と。








