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2020年5月1日(金)

クローズアップ

コロナが問う「維新の10年」

「都」構想 病院などを統廃合 やっと休業支援もカジノに固執

 4月に結成10年を迎えた大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)。党是の「大阪都」構想の是非を問う住民投票での否決(2015年5月17日)から5年になります。新型コロナ対策を最優先すべき時に、あくまで同構想の実現やカジノ誘致に固執する維新の会の姿勢が問われています。(渡辺健)


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(写真)大阪市役所=大阪市北区

 「大阪都」構想は大阪市を廃止・分割し、権限も財源も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」のもとで好き放題なことができる体制をつくることが狙いです。否決された「大阪都」構想案と今年11月にも実施を狙う住民投票で再度是非を問う案の骨格は変わりません。5分割案を4分割案に変えたぐらいです。住民投票へ向けて5月に予定していた「出前協議会」は中止したものの、動画配信を計画しています。

「二重行政」と

 同構想の大義名分とされたのが「二重行政」の解消でした。新型コロナの感染拡大のなかで、そのこと自身が問題となっています。

 前維新代表の橋下徹氏の次のツイッターが物議を醸しました。

 「僕が今更言うのもおかしいところですが、大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」

 保健所は現在、大阪市内で1カ所だけです。その保健所に検査要請や問い合わせが殺到しています。大阪では市立病院や公衆衛生研究所などの統廃合を進めてきたことが事態のさらなる悪化を招いています。「『二重行政』論に固執してこのような事態を招いた大阪維新の会の責任は重大」(大阪府保険医協会理事会)です。

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(写真)「格差是正、最賃大幅アップを!」とジャンプする生協労組おかやまの人たち

もろさを露呈

 訪日外国人(インバウンド)呼び込み政策のもろさも露呈しました。海外からの観光客は激減し、繁華街には大阪府の休業要請(飲食店は時短要請)前から「休業」の張り紙が目立ち、ホテル倒産など観光産業は大打撃を受けています。

 「自粛・休業要請は補償と一体で」との声が強まるなかでも、政府は「補償」に背を向けています。大阪維新の会代表代行の吉村洋文知事も、「財政力」を理由に府独自の休業支援は「できない」と否定していました。それが一転、府独自の休業支援に一歩踏み出しました。世論と運動に押されたものです。

 国に「地方創生交付金」の抜本的増額を求めることはもちろん、財政調整基金など府の「財政力」の使い方も問われています。吉村知事は「(財源は)成長に投資できるところまできている」としています。維新府市政が「成長戦略」の目玉として、「2025年大阪万博」予定地の「夢洲(ゆめしま)」に誘致を進めるカジノを中核とする統合型リゾート(IR)は、「反対」が54%(「読売」4月6日付)。人の不幸で成り立つギャンブル産業に貴重な「財政力」を浪費している時ではありません。

断念し注力を

 府民の命とくらしを守るためのありとあらゆる手だてをとるべきであり、カジノ誘致や「大阪都」構想作業もきっぱり断念し「副首都推進局、IR推進局の職員も新型コロナ対策のために総動員すべき」(日本共産党の柳利昭委員長)です。


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