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2020年4月28日(火)

マスク配布見通せず過半数 報酬算定できるか不明約6割

障害者事業所が苦境

きょうされんが調査

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 新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、障害のある人が利用する事業所の5割以上が自治体からのマスクやアルコール消毒液配布の見通しが立っていないことが、障害者団体「きょうされん」の調査で明らかになりました。

 全国の事業所は、マスクやアルコール消毒液の確保、自粛による利用者の欠席に伴う対応と報酬減収、販売機会の減少による工賃の減少など喫緊の課題に直面しています。

 きょうされんは、実態調査を3月下旬の1週間余りで同会員事業所を対象に実施。353カ所から回答を得ました。

 調査報告によると、マスクやアルコール消毒液を自治体から配布される見通しがないと回答した事業所が半数にあたる180カ所(51・3%)に上り、「配布されている」と回答した事業所でも「1カ月後には不足する」など不安の声が多く出ています。

 利用者の自粛による欠席でも、事業所が電話などで相談を受ければ報酬として算定するよう厚生労働省は自治体に求めています。このことについて自治体が対応するか「分からない」と答えた事業所は、198カ所(58・6%)。「見通しがある」と回答した事業所はわずか72カ所(21・3%)でした。一方、「算定できない」も23カ所(6・8%)ありました。

 きょうされんは、自治体によって対応の違いがあり、速やかに同省の事務連絡を周知・徹底することが求められると指摘しています。

 障害者の給料(工賃)の影響も深刻です。イベント自粛による販売機会の減少で、3月分の工賃が「50%以上減る」と回答した事業所は77カ所。20%以上減るとした事業所は73カ所で、合わせて20%以上の影響を受けた事業所が半数を超えました。

 3月分は「影響はない」と回答した事業所のなかには、「4月以降の支払いには不安がある」「売り上げは大幅減になっているが、利用者のために工賃を減らすわけにはいかない」と答えたところもありました。

制度や予算の下支えが急務

 きょうされん全国事務局次長の坂下共(とも)さんの話 調査以降、緊急事態宣言が全国に出され、事業所でもクラスター(感染者集団)が発生するなどより深刻さが増しています。

 障害福祉事業所は、障害のある人の命と健康を守る重要な役割を果たしています。国と自治体には、障害のある人やその家族、職員の声と実態に基づいて、マスクや消毒液の配布、所得の補償や報酬などにおいて、柔軟かつスピーディーな対応をお願いしたい。

 感染を広げないための判断として、やむを得ず事業所の休所も起こりうると考えられます。事業所に行けなくなると、障害のある人にとっては生活リズムが崩れ体調を壊してしまったり、家族にとっては心身に負担がかかったりする場合もあります。

 事業所であっても在宅であっても、支援が途切れないよう制度や予算措置で下支えされること、実際に感染したときに適切な医療が提供されることが急務です。


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