しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年4月27日(月)

コロナ禍 増えるDV被害

求められる相談先周知・支援充実

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛や休業、経済困窮の広がりによって、配偶者やパートナーからの暴力(DV)が増えています。DV被害に悩む女性たちを支援する一般社団法人「エープラス」(東京都)の吉祥眞佐緒(よしざき・まさお)代表理事に聞きました。(芦川章子)

一般社団法人「エープラス」代表理事 吉祥眞佐緒さんに聞く

写真

(写真)DV被害に悩む女性を自立までサポートする「エープラス」の吉祥代表

 全国で一斉に行った電話相談「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも相談会」(18、19の両日)でDV相談を担当しました。東京・四ツ谷会場だけで427件の相談があり、うち5%はDVが関係する相談でした。

相談の電話次々

 雨が上がったとたんに電話が一斉にかかってきました。夫が外出した隙などにかけてきたのでしょう。「やっとつながった」と泣きだす人もいました。「今、夫を無理やり風呂に入れている。出てきたらすぐに切ります」という人もいました。その後も回線は常にうまっている状態でした。受けられなかった相談がたくさんあったと思います。

 50代の女性は、仕事の減った夫が1日中、家にいるようになったといいます。ささいな口論から身体的暴力を受け警察へ。「家を出たほうがいい」と忠告されましたが「保護してくれる場所がない」ということでした。後日、私たちが役所に同行し、アパート転居の手続きをし、サポート体制を整えました。

 60代の女性は、夫から命の危険を伴うほどの暴力をうけ、シェルターへ助けを求めましたが「感染対策で5月6日までは入居できない」と断られました。自費でホテルに滞在するも、お金がなくなり電話をしてきました。役所と交渉し、ホテル代はネットカフェ利用者の都の救済措置規定を運用し支給してもらうことになりました。不足分は私たちが寄付しました。

 多くの方は、長年続いてきたDVがコロナをきっかけに悪化し、「もう耐えられない」という状態まで追い詰められています。

 周りの方は「何かあったら聞くよ」といったスタンスで、被害者の話に共感することが大切です。被害者は受容され、肯定されることで回復力を高め、自分で決断する力を育みます。そして、信頼できる専門的な相談機関があることを伝えてください。

LINE相談も

 コロナによって面接相談などが難しくなっていますが、LINE(ライン)の相談も広がっています。私たちも4月からLINE相談を始めたところ、1日でのべ40~50件の相談があります。

 DV加害者からの相談もあります。男性は不安や弱みを「怒り」で出す傾向があります。男性へのアプローチも大切です。私たちもオンラインで、加害者プログラムをやっています。

 今、誰もが不安になっています。相談機関の周知、経済的な支援、支援制度の弾力的運用、支援機関の充実などが求められています。


◇主な相談先

 【DV相談+(プラス)】フリーダイヤル(0120)279・889。午前9時~午後9時。29日夜からは24時間対応。SNSやメールでの相談もできます。5月1日からは、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語でも対応します。内閣府の担当者は「民間の支援団体と協力し、同行支援、保護、緊急の宿泊提供も行う」としています。


pageup