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2020年4月27日(月)

きょうの潮流

 夜中にかかってきた母からの電話。「お父さんが転んでしまって、起き上がれないの。助けて」。不安を抱え祈るような気持ちで向かった娘夫婦。コロナに感染しないように…▼身の回りで聞いた話です。いつもは老老介護の親のもとに足しげく通っていた娘たち。ところが、それもできなくなり、認知症の父と2人で向き合う時間が増えた母のストレスもたまっているといいます▼医療とともに深刻な介護の現場。感染拡大におびえながら、家族や事業所の負担は増す一方です。受けていたサービスの中止で健康状態が悪くなるお年寄りが相次ぎ、予防物資や人員の不足で職員も追い詰められています▼厚労省によると、すでに休業に追い込まれた介護事業所は全国で900カ所以上にのぼり、ますますひろがることが予想されます。もともとのぜい弱な体制にコロナ対応が追い打ちをかけ、「地域の介護サービスの基盤が致命的なダメージを受けようとしている」(林泰則・全日本民医連事務局次長)▼関係者は、早急な資金援助に加え、人員確保や感染症対策、職員への手厚いケアを国や自治体に求めています。介護現場の崩壊は社会存立の土台を掘り崩すと▼医療や介護・養護、教育や人権。感染症はこれまで国が削ってきた社会福祉や保障のやせ細った姿をうきぼりにしました。欧州では「健康は商品ではない」と切り捨て政策を見直す声が上がっています。経済的な豊かさや利益ばかりを追う社会からの転換。今回の危機は示しています。


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