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2020年4月26日(日)

きょうの潮流

 本紙連載中の小説「あの子が石になるまえに」の著者で作家の木村紅美(くみ)さんから「コロナ禍で家ごもり&すみれ探しの日々を送っています」とメールが来ました▼「外に出なくてもすむ仕事だからできるのですが」と断った上で、執筆の合間に好きなすみれの花を探して近所の雑木林を歩いているといいます。そして毎日のように首相官邸へメールを送ります。〈辺野古の埋め立て、石垣島や宮古島の自衛隊基地工事を即時中止し、浮いた税金をコロナ対策の補償へ回してください〉▼木村さんには沖縄への特別な思いがあります。学生時代、音楽をはじめ沖縄の文化に魅了され、辺野古の座り込みにも参加。実家のある岩手県が東日本大震災で被災し、がれき撤去に通っていた時、東北と沖縄はつながっていると感じました▼原発を押し付けられた東北と米軍基地を押し付けられた沖縄。その支配と収奪の歴史。二つの土地を結ぶ物語の構想が浮かび、連載小説に結実しました▼震災後、被ばくを避けて八重山の島に来た主人公の少年が、琉球王府時代の過酷な人頭税と強制移住によって引き裂かれた恋人たちを助けようとタイムスリップします。恋人のいる島見たさに険しい山に登り頂上で石になってしまった少女の伝説「野底(のそこ)マーペー」を題材にしました▼「想像力の大事さを伝えたい」と木村さん。「沖縄には共苦を意味するチムグリサという言葉があります。理不尽さに翻弄(ほんろう)され、見えにくい場所で犠牲になっている人を忘れないでいたい」


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