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2020年4月26日(日)

主張

景気「急速に悪化」

暮らしが成り立つ支援を急げ

 安倍晋三政権が23日発表した4月の月例経済報告は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と、景気判断を2カ月連続で大幅に下方修正しました。「悪化」という表現が使われたのは、リーマン・ショック後の2009年5月以来、約11年ぶりです。消費税増税によってすでに弱っていた日本経済は、コロナの感染拡大によって、まさに危機的事態に突入しています。苦境に立つ国民の暮らしと営業を支える、政府の本格的で強力な支援が緊急に求められます。

消費も生産も総崩れ状態

 コロナ感染拡大が本格化していた3月の月例経済報告は、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」と、判断を下方修正していました。4月の報告ではさらに下方修正し、「極めて厳しい」と、リーマン・ショック後の時よりさらに踏み込んだ認識を示しています。

 個別の項目で見ても、個人消費は外食・旅行などのサービスがコロナに直撃された結果、消費者マインドも悪化し、「急速に減少している」と引き下げられました。輸出も自動車需要や設備投資意欲の減退が響き「このところ減少している」と下方修正しました。生産や企業収益、業況判断、雇用情勢も軒並み下方修正され、日本経済は総崩れの様相です。世界的なコロナ感染症の拡大によって、海外経済の判断も「急速に悪化」と引き下げられました。

 西村康稔経済再生担当相は月例報告の発表にあたり、「過去に例を見ない極めて厳しい状況である」と述べました。世界的には08年のリーマン・ショック級どころか、1929年の世界大恐慌以来という指摘も出ています。国民の暮らしと営業への打撃は、はかりしれません。

 ところが安倍政権の対策は、危機的状況に見合ったものではありません。16日には、緊急事態宣言が全国に拡大され、経済活動にいっそうブレーキがかかっています。その打撃はかつてない規模なのに、安倍政権は外出自粛・休業要請と一体で補償することに背を向け続けています。国民世論の力で、いったん決めた20年度の補正予算案に「1人当たり一律10万円」の給付金の仕組みを盛り込ませたものの、それだけでは全く不足しています。コロナ感染拡大によって、直接・間接に損失を受けているすべての個人と事業者に、生活と営業が持ちこたえられる補償を迅速に実施することが必要です。

 月例経済報告を決めた閣僚会議の資料でも、雇用調整助成金の「活用がカギ」と記しています。雇用調整助成金に「コロナ特例」を設け、スピーディーに使えるよう抜本的に改善すべきです。「持続化給付金」の対象拡大、固定費を賄える額への引き上げ、1回だけでなく継続的な補償への改革も不可欠です。もはや一刻の猶予もありません。感染爆発を抑止するうえでも、対策の大幅拡充は急務です。

5%減税の決断が必要

 コロナの感染拡大前から、日本経済を深刻な消費不況に陥らせていたのが、安倍政権下で2度にわたって強行された消費税率の引き上げです。コロナ感染の終息後を展望して、消費税の5%への減税を安倍政権は決断すべきです。


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