しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年4月24日(金)

里帰り受け入れ中止

出産、どこで…

戸惑う妊婦と家族

 新型コロナウイルスの感染拡大で、里帰り出産の受け入れを中止する地方の病院が出ています。予定の変更を余儀なくされ、「どこで出産できるのか」と戸惑う妊婦や家族。東京では「困っている妊婦さんを救おう」と、産婦人科医たちが支援のとりくみを始めました。(西口友紀恵)


写真

(写真)子育てサークルで交流するお母さんたち(青森市内のハローベビー助産院提供)

 青森市で助産院を開業して30年の溝江好恵院長(助産師)は、「里帰り出産についての相談が相次いでいる」といいます。

対応が困難に

 その一人、神奈川県在住で、実家が青森市内にある女性は6月初めに出産予定です。当初、母親が女性のもとへ出産の手伝いに行く予定でした。しかし、新型コロナウイルスのまん延状況をみて怖くなり、今月中旬、急きょ実家に戻りました。

 青森市内では県立中央病院と市民病院が、里帰り分娩(ぶんべん)について新型コロナウイルス感染症対策としてそれぞれ「受け入れは条件付き。急な里帰りは控えて」「原則、県外からの受け入れを当面しない」と公表しています。

 日本産科婦人科学会などは7日、「地方の小規模施設は急に受け入れる余裕がないところがほとんどなので、移動するほうがリスクになりかねない」として、急な帰省分娩を避けるよう呼びかけました。

 女性は、溝江さんの助産院での出産を希望していますが、提携する県立中央病院の受診が必要です。実家で2週間自主隔離をした後、症状がなければ5月1日に病院で受診が可能とされました。「出産予定日からすると、ぎりぎりの時期」と溝江さん。

 「行き場がない状態で、妊婦さんも家族も大きな不安を抱えています。他方で、感染者が多い東京などから妊婦が移動することによる院内感染のリスクを避けたい病院側の事情も分かる」といいます。

 背景に、県内で新型コロナ対応のPCR検査を実施しているのが県環境保健センター1カ所で、可能な検査数は1日40件という現状があります。県内6カ所の感染症指定病院の感染症病床は29床で、今後感染が広がると対応が困難になります。

 「態勢がないなかで、どうしたら安全な出産をさせてあげられるか、助産師会の仲間とも検討を始めた」と溝江さんは話します。

主治医に相談を

 「里帰り先の病院から受け入れを断られたが、都内で出産を予約できる施設が見つからない」―。7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が出されて以降、こうした妊婦の声が出ているとして、産婦人科の専門医などでつくる東京産婦人科医会は、都内の病院に緊急アンケートを実施しました。

 同医会の山田正興会長は、「会では受け入れ可能と答えた100を超える施設を把握しているので、妊婦さんはかかりつけの医師に相談して、施設を紹介してもらうようにしてほしい」と話しています。


pageup