2020年4月24日(金)
コロナ危機 伊 広がる助け合い
貧困世帯にパン配布/理髪サービスも
新型コロナウイルス感染拡大による被害が続くイタリアで、地方自治体やNGOが協力して、生活に苦しむ人々を助け合う取り組みを広げています。(島田峰隆)
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政府は全国で人の移動を制限する一方、「労働者や企業を守る防波堤」になるとして、休業を余儀なくされた労働者や中小企業へ支援を強めています。それでも日々の生活に困る人は少なくありません。
北西部サンタントニノディスーザ(人口約4300人)では、市が行った募金に20日までに1万ユーロ(約117万円)以上集まり、ひとまず約60世帯に食料を届けました。17日のスタンパ紙(電子版)によると、地元パン店の間では、焼き立てパンを毎朝役所に届けて、貧困世帯に無償で配布してもらう動きが広がっています。
市民の助け合いに刺激された市当局は、コロナ危機の収束後に地元企業が事業を円滑に再開できるように、店舗修繕費の補助を検討し始めました。地元の建築業者を支援する目的もあります。
中部アルチェビア(人口約5000人)の地元紙(電子版)は21日、市当局、災害対応にあたる国の機関、慈善団体が共同で進める「連帯のショッピング・カート運動」を紹介。市内の食料品店に箱を設置し、貧困世帯に寄付したい食料品を買い物客に入れてもらいます。市当局が箱を回収し、危機で生活が行き詰まった世帯にプライバシーを保護しながら無料で家に届けます。
21日のコリエレ・デラ・セラ紙(電子版)によると、北部ミラノにある理髪店は医師や看護師について今年中は無料でサービスを提供すると発表。店主は同紙に「治療を行い、みんなの健康を支えてくれている人々への感謝です。激務のあとに緊張をほぐす時間をプレゼントしたい」と話しました。