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2020年4月23日(木)

自宅で飲み過ぎ 注意

コロナ危機“ストレス下の飲酒は依存深める”

アスク・全断連が呼びかけ

 在宅勤務や外出自粛要請が広がっています。アルコール依存症の予防・回復をすすめるNPO法人ASK(アスク)や、依存症者の自助組織、全日本断酒連盟(伊藤聰=さとし=理事長)は、自宅でつい飲みすぎて依存症にならないよう注意を呼び掛けています。(徳永慎二)


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(写真)アスクの「1単位カード」

 アスク代表の今成知美さんが「やっぱり」と思った調査があります。新型コロナの感染が拡大するなか、米国のアルコール依存症者を支援する団体が米国人労働者3千人を調査。在宅勤務中に飲酒している人の割合は、32%にものぼりました。州別で最も高かったのは、ハワイ州で67%、2位がロードアイランド州で60%です。

 オーストラリア・シドニーの新聞報道によると、新型コロナ危機のなかで、消費者の日常行動が劇的に変化していました。ジムやフィットネスクラブへの支出がマイナス95%、旅行が同78%。増えたのがオンラインギャンブルの67%増、アルコール・タバコも33%増でした。

震災時の経験

 「日本では、すでに阪神・淡路大震災や東日本大震災の時の経験がある」と今成さんは言います。「不安やストレス、孤立の中で過剰な飲酒が問題となりました。今回は新型コロナ危機という事態ですが、外出自粛や生活の不安で飲酒に走る土壌がある」と指摘します。

 2011年の東日本大震災のとき、宮城県断酒会は、地元の病院と連携して「ストレスのかかった状態での飲酒はきわめて問題」だとして、眠れないとき、不安なときの飲酒は避けるように呼びかけました。酒への依存を深め、そのことがさらにうつ病や自殺念慮を招くからです。

 今成さんは過剰飲酒を防ぐために「飲酒量を記録する」と「目標を決める」を提唱します。目標は「1日純アルコール量20グラム(1単位)以下に抑え、週2日の休肝日を設ける」です。

 20グラムはビールのロング缶1本、日本酒約1合(図参照)にあたります。20グラムを分解する時間は、個人差がありますが、おおよそ男性4時間、女性5時間。多く飲めば飲むほど、アルコールが体から抜けきらない状態が続くからです。

 「アルコールには依存性があります。新型コロナへの有害性もWHOが指摘しています。特に問題飲酒をしている人が歯止めがきかなくなって、依存症にすすまないか心配です」

適正量と回数

 厚生労働省の調査(13年)で、依存症者が推定107万人。ロング缶2本にあたる1日平均40グラム(2単位)の「リスクの高い飲酒者」は、1036万人にのぼります。

 全日本断酒連盟の常任理事、松本和頼さんは「私の体験から言っても、引きこもって1人でお酒をたしなむのは、決してよいとはいえない」と言い、注意が必要としてあげたのがストロング系の酒。「ビールの倍近い9%のアルコール濃度で、価格が安く、清涼飲料水のように飲みやすい。短時間で酔える。そこが落とし穴で、危険飲酒に陥りやすい」と指摘します。

 「飲むなとは言いません。1日20グラム以下の適正な飲酒量、週2回の休肝日を守ってほしい」

 WHO(世界保健機関)の依存のリスクについての注意喚起文書(アスクのホームページから意訳して抜粋)

▽アルコール摂取は感染から身を守るというのは、誤った情報で、そのエビデンスは存在しない。

▽アルコール有害使用は感染リスク増、治療効果の低下に関連する。

▽アルコールの使用は新型コロナの死亡リスクに大きく関与する心血管疾患や肺疾患など多くの非感染性疾患の経過を悪化させることもある。


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