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2020年4月22日(水)

主張

補正予算案 再決定

感染爆発を止める姿勢みえぬ

 安倍晋三政権が新型コロナウイルスの感染拡大に対応するためにいったん決めた2020年度の補正予算案を組み替え、決定し直しました。政府が一度閣議決定した補正予算案を、国会審議前に大幅に変更するのはかつてない事態です。安倍政権の場当たり的なコロナ対策を象徴しています。国民世論の力で1人一律10万円の給付金は盛り込まれました。しかし、外出自粛や休業要請と一体での補償という考えはなく、感染爆発を止めるという姿勢はみえません。週明けからの予算審議で、抜本的な組み替えを実現すべきです。

10万円給付だけでなく

 当初、一般会計からの支出が16兆8000億円余りで編成された補正予算案は、「1人一律10万円給付」に方針転換し組み替えられた結果、一般会計総額で25兆6914億円規模になりました。政府が対策の“目玉”としていた、収入が大幅に減った世帯への30万円の給付金案は、あまりに不公平を招く仕組みだったため、撤回に追い込まれました。国籍に関わりなくすべての日本在住者への1人10万円給付は、日本共産党など野党がかねて要求していたものであり、早く国民の手に届くようスピーディーに実施すべきです。

 しかし、1回限りの「10万円給付」で終わらせるわけにはいきません。安倍政権が「緊急事態宣言」を発令してから21日で2週間となり、対象は7都府県から全国に拡大されました。国民の暮らしや営業はいよいよ深刻な事態に陥っています。

 補正予算案をさらに改め、外出自粛や休業要請で直接・間接に損失を受けている人の生活と営業が持ちこたえられるよう、十分な補償をすることが急務です。労働者や自営業者、フリーランスの賃金・収入の8割補償は当然です。「売り上げが5割以上減」などと制限を付けずに、中小小規模事業者の家賃や光熱費などの固定費を継続的に補償することが重要です。

 地方自治体への1兆円の臨時交付金も、政府は用途を広げることを認めました。それに見合って大幅に増額する必要があります。

 組み替えられた補正予算案は医療や検査への支援拡充は全く図られませんでした。最も差し迫って求められるPCR検査体制の強化や医療現場への財政支援の予算は、わずか1500億円程度のままです。コロナ患者の受け入れに対応するには、1病院当たり月1億円強~3億円弱の減収が生じるとの試算もあります。医療機関への支援と検査の拡大、マスクの緊急供給など、医療体制強化にさらなる財政支出が不可欠です。数兆円規模に増額し、医療崩壊を食い止めるあらゆる手だてを尽くすべきです。

従来の発想でない対策を

 組み替え後の補正予算案でも、コロナ後の「経済活動の回復」などの事業は盛り込みつつも消費税減税にも触れません。コロナによる経済の落ち込みは、世界でも日本でも、2008年のリーマン・ショックを上回るとされており、従来型の発想では回復できません。

 コロナ危機前から深刻な消費不況が顕在化している日本経済を再生させるには、消費拡大によって土台から立て直す政策に転換すべきです。消費税の5%への減税は当面の重要な生活支援策であり、コロナ終息に向かう時期には、最も効果的な需要拡大を生みます。


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