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2020年4月21日(火)

コロナ治療の医療従事者に 沖縄

サングァーと「ありがとう」

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(写真)新型コロナウイルス感染者の治療にあたる医師の胸元を飾るサングァー=17日、沖縄県

 新型コロナウイルスへの感染が広がっている沖縄県。感染者の治療をしているある民間病院では、敷地内に発熱外来用のテントが張られています。正面玄関では救急救命士が患者の症状を確認して、発熱外来に回すかどうか振りわけています。閑散とした院内をきびきびと行きかう医師や看護師ら職員の胸元でゆれる小物が目を引きます。

 長さが5センチほどで、ピンク、黄色、紅型模様が入り交じったト型に結ばれています。「サングァー」と呼ばれる沖縄伝統のお守りです。

 新型コロナ感染者の受け入れが始まった4月上旬、職員組合の有志から一人ひとりに、こんなメッセージを付けて手渡されました。「いつも守ってくれてありがとう 今度は私が守ります」

ひめゆり資料館

 職員からは切羽詰まった声が寄せられていました。「マスク、防護服が不足している」「休憩室がクラスターにならないか」「新婚のナースも3人いるがどうなるのか」「自分だけでなく家族にも感染させないか不安だ」―。

 サングァーは有志の一人が最近、訪れた「ひめゆり平和祈念資料館」(糸満市)の記念グッズ売り場で目にしたものです。沖縄ではシーサーや石敢當(いしがんどう)とともに身近に使われる魔よけです。

 原料は、県内外や海外からの入館者たちが「平和の願い」をこめて折り上げる何十万羽もの千羽鶴の再生紙。作り手は、地元の共同作業所の障害者たちです。

 「平和の願い」を受け継ぐ手作りの魔よけは今、医師や看護師らの一部となって“見えない敵”とたたかっています。職員組合の女性は、言葉をつまらせながら言いました。

 「住民の命を守るために感染の危険を振りきって、身を粉にして働く職員の姿を身近で見てきました。使い捨てのマスクが今は1週間に1枚しか支給されず、ゴーグルも拭き直してつかう。そんな職員の姿は涙なくして見ていられなかった」

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(写真)医療従事者へお守りとして手渡されているサングァーのもとになっている千羽鶴=ひめゆり平和祈念資料館

勇気と覚悟持ち

 女性は「疲弊した医療現場を救う国の抜本的な緊急支援が欲しい」とした上でこう続けました。

 「サングァーは、県民の命を守る専門集団として勇気と覚悟を持ってたたかおう、という支え合いのしるし。感染者が入院する病棟で看護師長が『若い看護師たちにもあげたい』とサングァーを余分に受け取ってくれたことや、職員のメンタルケアを担当するスタッフがお守りを手に返してくれた言葉がうれしかった。『みんなでがんばろうね』と」(山本眞直)


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