2020年4月19日(日)
きょうの潮流
新日本出版社の新版『資本論』の刊行がすすみ、4分冊までの第1部が出そろいました。これを機会に挑戦、再挑戦する人たちが増えています▼むきだしの搾取、貧困と格差、地球温暖化、自己責任の横行―。「コロナ禍で大変な時期だからこそ資本主義の行き詰まり、現代社会の根底を貫く法則をつかもう」。学習会や読書会を開くのが難しい状況のなか、互いに励まし合い、独習にとりくんでいるところも▼マルクスは『資本論』のフランス語版を出したときに、有名な文句を残しています。「学問にとって平坦な大道はありません…険しい小道をよじ登る労苦を恐れない人々だけが、その輝く頂上にたどりつく幸運にめぐまれる」▼僚友エンゲルスは、この5年前の『資本論』の書評で“最絶頂”に立った人物をたたえていました。「そこから近代的社会諸関係の分野全体がはっきりと見晴らしよく横たわっているような高所によじ登ること」ができたのがマルクスである、と▼「自分自身で考えようとする読者を想定している」。多くの人にこの見晴らし、幸運を味わってほしいと願っていたマルクス。労働者に理解が広がりはじめたのが「私の仕事への最高の報酬」とも述べていました▼それから150年後の日本で、山の頂をめざす若者たちがいます。雑誌『経済』5月号の座談会でも「人間的にも成長できるような社会にするために学ぼう」と。働く意味やいまの社会のしくみを知る喜び、未来への希望をつかもうとする意欲がまぶしい。








