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2020年4月14日(火)

きょうの潮流

 ベテランの子どもでありつづけること。愛や絆、夢や正義。ぼくが子どもの頃にあこがれた物語を信じられるおとなになろう▼以前、若い世代に生きる意味を問う本のなかで、大林宣彦さんは自身の「10代の哲学」をそう語っていました。人間は何をし、いかに生きるべきか。それを考えつづけ、対話する哲学が大切なんだと▼「転校生」や「時をかける少女」。ときに一世をふうびし、自由な発想と斬新な表現で映像の魔術師といわれながら、根底にある伝えるべきものは揺らぎませんでした。「映画とは人間の願いを表すもの」。戦争体験者としてのそれは、平和を愛する心でした▼近年は、より思いを込めた作品が顕著に。肺がんとたたかいながら完成させた「花筐/HANAGATAMI」は、戦争によってつぶされた若者の青春を描きました。10日に公開される予定だった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」も原爆をテーマに▼そこには、みずからの余命とともに、日本がふたたび戦争できる国になっていくことへの強い危機感がありました。「うかつだった」。亡くなった高畑勲監督と悔やんだというざんきの念は最後まで衰えぬ情熱となり、国の狂気にたいして正気で生きることを訴えました▼「映画には、世界を平和に導く力と美しさがある」。敬愛する黒澤明監督から教えられ、つねに表現者として胸に刻み、日々あらたにしてきた“希望の光”。それは未来をになう若い人たちに託す言葉となって。「おれたちのつづきをやってね」


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