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2020年4月7日(火)

きょうの潮流

 「被爆地」はヒロシマ、ナガサキだけではなかった―。イギリスが1950年代核実験を12回も強行したのはオーストラリアの先住民(アボリジニ)の大切な土地でした▼高知の太平洋核被災支援センター副代表で英文付き写真集『NO NUKES』を出版した岡村啓佐(けいすけ)さん。ことし1月、同国を訪れ、先住民被害者のスー・ハセルダインさんらと交流しました▼スーさんは2歳のとき、南部のエミュー平原の核実験で被災。「この実験のとき、黒い霧が発生し、風にのって流れてたくさんの人が被ばくしがんなどで亡くなり、今も多くの女性が悩まされている」と告発します▼核保有大国は核実験大国でもあります。ソ連(現・ロシア)はセミパラチンスクで456回の核実験、中国はロプノール地域で45回の核実験を強行。アメリカが1954年にマーシャル諸島ビキニ環礁で行った核実験の威力は、広島型原爆の3200倍です。マーシャル諸島島民をはじめ、第五福竜丸など900隻以上の日本のマグロ漁船員も被災し、汚染は北半球全体に▼はかりしれない世界の核実験被害は、国際的な人権問題です。核兵器禁止条約6条には、「核兵器使用または実験による被害者」にたいする援助などをあげています▼禁止条約を批准した国は36カ国となり、発効は時間の問題です。「核実験被災船員の救済」を掲げて日本のマグロ漁船元乗組員らが始めた「ビキニ労災訴訟」は、世界の核被害者の救済を先駆ける国際的な意義あるたたかいです。


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