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2020年4月6日(月)

新型コロナ 貸し切りバス 募る不安

訪日客相手 2月から仕事ゼロ 融資受け給与全額補償してきたが…

千葉・成田の業者

写真

(写真)観光バスは数台でがらんとした駐車場=2月、大阪市中央区・大阪城公園のバス駐車場

 中国からのインバウンド(訪日外国人旅行)を相手にした貸し切りバス会社を経営するAさん(千葉県成田市)。新型コロナウイルスの影響で、中国政府が団体旅行を禁止したため、2月から仕事が「ゼロ」に。収束が見通せないなか、苦しい資金繰りが続きます。

 日本政府観光局(JNTO)の統計では、2月の中国からの訪日客数は8万7200人で前年同月比マイナス87・9%でした。

 成田空港近郊には同様の貸し切りバス会社が約100社あります。ドライバーの給与確保が死活問題です。「いつ中国の旅行者が戻るか分からない」と、ドライバー全員を解雇する会社が相次ぎました。1月3社、2月20社、3月30社と50社以上に。Aさんは「影響は地域経済全体におよぶ」と懸念します。

 Aさんはバス11台、常用ドライバー10人を雇用。日本政策金融公庫に融資を申し込み、雇用調整助成金を受け、収入がなくても給与は全額補償しています。

 社会保険事務所に月70万円になる社会保険料と厚生年金保険料の分納を申し入れ、バス4台分のリース料を先延ばししています。

 待ったなしで出ていくのが固定費です。「月100万円ぐらいは簡単に飛ぶ」とAさん。車庫代(16万円)、仮眠室5部屋分の賃料と事務所家賃(17万5千円)、ドライブレコーダーとデジタルタコグラフのリース料(20万円)、GPS通信料(2万円)、自動車保険料(30万円)。仮眠室は使用しなくても賃料が発生します。ドライバーは11人でしたが高齢の1人が「年だからいい時期」と退職を申し出ました。

 Aさんは当初、特効薬が出て3月末には感染が収束すると予想していました。「ここまで抱えたのだから最後まで雇用したい。でも長引けば、自宅待機するドライバーも他の仕事を探し始めるかも。バスに戻ってこないかもしれない。夏休み頃からお客が来始めてくれたらな」と不安げに話します。(遠藤寿人)


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