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2020年4月5日(日)

窮状深刻 コロナの春 院生は

研究困難 施設閉館・家にネットない

学費危機 バイト減・実家の収入半減

 新型コロナウイルスの感染拡大で大学院生が研究活動に支障をきたしたうえ、アルバイトがなくなって生活費や学費の支払いが困難になるという窮状に追い込まれています。有志団体が文部科学省や各党の国会議員などに対策を求める要望書を送っています。


 大学院生の有志でつくる団体「チェンジ・アカデミア」が3月下旬にインターネットを通じて行ったアンケートには留学生や4月から大学院に入学する人も含め、146人から切実な声が寄せられました。

 大学の意思決定が遅く今後の見通しが立たないことや入学などの手続きがどうなるかという不安、講義がなくなったり、研究ができなくなったりしている現状を訴えています。感染への心配も多くあります。

 チェンジ・アカデミア代表の山岸鞠香さんは「電車での通学や密集した研究室などに行くことは感染リスクがあります。多くがオンラインでの講義などを望んでいますが、その環境が整っていない人がたくさんいます」と語ります。パソコンやポケットWi―Fiの提供、購入補助などが必要だといいます。

 図書館や資料館の休館、インタビューができないなどの理由で研究・調査が困難だという声も多く上がっています。学会も軒並み中止。理系の院生は実験ができなくなっています。特に修士論文や博士論文を書かなければならない人にとっては大問題です。

 一方で、大学としては通学を原則禁止にしているのに教授から研究室に出てくるように求められる例もあり、感染防止策が徹底していないことが不安を呼んでいます。山岸さんは、研究室に入る人数を制限するなど感染防止のガイドラインを決めるべきではないかといいます。

 アルバイトがなくなっていることも深刻です。塾の講師や大学でのティーチング・アシスタント(学部生への授業などの補助)が減り、ほかの仕事もなく、収入が激減しています。「院生は年齢的にも親に頼れず、アルバイトで生活費や学費をまかなっている人が多い。経済的支援をしてほしい」と山岸さん。チェンジ・アカデミアは給付型奨学金の早急な拡充、学費の減免枠拡大などを求めています。

 外国から日本への留学生のなかには就学のためのビザが切れる一方で、コロナウイルス流行のため帰国できない人も出ています。

 チェンジ・アカデミアではアンケートで明らかになった院生の声をもとに各大学の学長あてにも要望書を出す計画です。


チェンジ・アカデミアのアンケートに寄せられた大学院生の声

 情報公開が少なく、入学手続きの変更に戸惑っている

 授業が減ったし、入学式・卒業式もない。授業料を下げてほしい

 (オンライン講義で)家にWi―Fi環境がなく、お金を払ってネットカフェに行くか、大学に行くしかない。経済的負担の上、感染リスクも高まる

 現地での研究調査ができなくなった。議論の場が失われた

 封鎖されたら研究室の植物が全滅し、貴重な系統も消えてしまう

 アルバイトがなくなり3月は無収入

 実家の収入が半減した


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