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2020年4月5日(日)

布マスク配布 究極の場当たり策

自粛の損失補償と医療強化を

感染防止へ財政措置こそ

 新型コロナウイルス感染症の爆発的感染拡大の危険が強まる中、安倍晋三首相は、布製マスクを1世帯当たり2枚配ると表明しました(1日)。自粛に伴う損失補償や病院ベッド確保のための財政措置などが緊急に求められる中で、効果の限られた布マスクの配布は、「一斉学校休校要請」に続き、ちぐはぐで場当たり的な姿勢をまざまざと示しています。

疑問の声噴出

 布マスクの感染予防の効果について、WHO(世界保健機関)は「布マスクの採用は推奨しない」としています。布マスクは目が粗く、ウイルス防護にほとんど意味はありません。タイミングも遅いうえ、「2枚では3人家族はどうするのか」「医療現場での不足はどうするのか」「膨大なコストをかけるならもっとほかのことを」など疑問の声が国民からは噴出しています。

 爆発的感染を防ぐために、政府は国民に密接・密閉・密集の「3密」を避けることや外出の自粛、イベント自粛を要請してきました。これらは必要な要請です。しかし、政府は、自粛による損失補償には一貫して後ろ向きです。これでは、感染防止策としての実効性の確保に真剣なのかと疑われても仕方ありません。

 政府は、医療体制強化でも財政的措置を明らかにしません。重症者増加に備えベッドを確保しなければなりませんが、民間病院に空きベッドの確保を要請するには財政支援が必要となります。専門家からは、コロナを専門に受け入れる医療機関をつくることや、軽症者の受け入れ先の確保も提言されています。そのために必要な財政措置を行うべきですが、安倍政権からはその姿勢が全く見えてきません。

 また、コロナ感染の有無を調べるPCR検査のテンポを上げるには、相談センターの体制強化、検査医療機関(帰国者・接触者外来)の体制強化も必要と指摘されています。

 こうした緊急に求められていることをやらないまま、唐突な布マスクの配布に対して、専門家や国民から“失笑”や批判が出るのは当然です。

混乱もたらす

 首相は、全国一律の休校の要請でも、専門家会議にはからず、科学的根拠抜きに「政治決断」で行い、教育現場と家庭に無用な混乱と不安をもたらしました。

 加えて、3月19日に政府の専門家会議が感染者の爆発的拡大を警告したにもかかわらず、翌20日に政府は学校の段階的再開のアナウンスを出し、これが緩みを生みだしました。20~22日にかけての3連休からコロナ感染の潜伏期間である2週間がたった4日、東京では118人という初の三桁の感染確認を出すことになりました。

 科学的根拠のない一律休校と、その緩和・解除など、場当たり的対応が感染を拡大させたと批判されても仕方ありません。

 緊張が強まる中での「布マスク2枚配布」という「対策」は、極め付きの場当たり的対応となりました。

 (若林明)


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