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2020年4月3日(金)

医療現場 瀬戸際

新型コロナ保団連報告

マスク足らず感染防護不備 外来制限 受診控え持病悪化直面の患者

 全国の開業医らでつくる全国保険医団体連合会(保団連、住江憲勇会長)は2日、新型コロナウイルス感染症が全国に広がる中、マスクをはじめ医療資材の不足に直面する医療機関の厳しい状況などについて東京都内で報告しました。


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(写真)新型コロナウイルス対策の抜本的拡充を国に求める全国保険医団体連合会の住江憲勇会長(中央)=2日、東京都渋谷区

 千葉県保険医協会のアンケート調査(3月12~16日に実施、1475医療機関が回答)によると、マスクの在庫が30日以内になくなるとの回答が66・1%にのぼりました。

 十分な感染防護対策が取れない状況で、医療機関が外来受診を制限せざるをえなくなっている実態も明らかになりました。北海道保険医会の調査(3月9~16日、146病院が回答)では、「風邪症状は診ない」「発熱などの新患は受診をお断りしている」などとして、約6割が何らかの受診制限を行っていると回答。感染を恐れて患者が受診を控える事例もあり、3月の医業収入が減少すると見込んでいる医療機関は8割超でした。

 保団連の山崎利彦理事は、至近距離での診療を避けられない眼科、耳鼻科の医師らが、水中メガネやアイスホッケーのマスクを着用し、マスク不足をしのいでいると紹介しました。

 北九州市小倉北区で歯科を営む杉山正隆保団連理事は、月3回受診していた高齢の患者が、感染を恐れ月1回しか通院しなくなったとして、「このまま続けば口腔(こうくう)の健康も守れなくなる」と指摘。患者の受診控えや、医療機関の受診制限が糖尿病、高血圧などの悪化につながり、死に至ると懸念をのべました。

 感染者数の増大で医療体制が危機にひんしていることについて住江会長は、国が公立・公的病院約440カ所の統廃合で病床削減を狙う計画は撤回させなければならないと強調。長引く感染の恐怖から、うつ症状になってしまう高齢者らも多いとして、「国民が安心できる説明や情報を、国が責任をもって発信していくべきだ」と語りました。


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