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2020年4月2日(木)

祭り中止 露天商泣く

「私ら現金商売」「補償今すぐ」

青森

写真

(写真)たくさんの露店が並ぶ、2019年の「青森春まつり」=青森市・合浦(がっぽ)公園

 「毎年『さくらまつり』が商売のスタートだった。今年、すべての祭りが中止になったら生きていけない」―。青森県では、新型コロナウイルス感染防止の外出自粛要請が恒例の花見を直撃し、収入の道を絶たれた露天商が窮状を訴えています。

年収の大半

 弘前市の「弘前さくらまつり」(23日~5月6日)をはじめ、県内の春祭りが次々と中止を決定しています。

 「日本三大桜名所」として知られ、昨年289万人が来場した「弘前さくらまつり」には約200が出店しました。同年17万人が来場した青森市の「青森春まつり」にも約100の露店が立ち並び、露天商は昼夜を分かたず忙しく働きました。中には、期間中に年収の半分を稼ぐ店もあるといいます。

 「毎年、正月が明けたら祭りに向けて仕入れを始める。春が来るのを待ち望んでいただけにショックで、ショックで」。毎年、県内の春祭りに出店している男性(78)は「中止は死活問題」とがっくり肩を落とします。

 男性は、妻と二人三脚で30年以上、春祭りに出店。常連客がつく人気店で、約2週間続く春祭りと、連続する夏祭りでの売り上げが年間収入の大半を占めています。楽しみにしてくれていた常連客へは「面目ない」と電話で謝りました。

 店で出す新鮮な海の食材や春の山菜は、漁師や地元の人から仕入れてきたため、その人たちの大幅な減収も心配しています。

命の瀬戸際

 男性は、年齢を考えると無利子でも融資はためらうといいます。「安倍首相は雇用を守るというが、納得できる具体的な支援の話が見えない。収入が途絶えるんだ。自粛させるなら、今すぐ生活補償をしてほしい」

 春まつりに出店を予定していた女性(60代)は「一日でも早くみんなが生きていける支援を」と訴えます。

 女性は「祭りの中止で、あす食べることに困っている人もいるのに、商品券の配布や牛肉券配布(案)って。あんた、露店は現金商売だよ。自粛しろというなら現金をよこせ」と怒りをぶちまけます。

 感染拡大を受け、青森ねぶた祭実行委員会は、8月の祭り中止の検討に入っています。

 「感染拡大防止と言われたら、自粛や中止もやむを得ない」と話すのは、青森街商協同組合(組合員41人)の加賀屋眞澄理事長。

 苦しい胸の内を打ち明けました。「組合には、家業を継いだ露店一本の高齢の組合員も多い。祭りの中止が続けば、私たち露天商にとっては、死ぬか生きるか、命の瀬戸際の問題。融資でもなんでも受けて乗り切らないと、生活できない」(青森県・藤原朱)


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