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2020年4月1日(水)

主張

消費税増税半年

5%緊急減税の政治決断こそ

 安倍晋三政権が昨年10月1日に消費税率を10%に引き上げてから、きょうでちょうど半年です。安倍政権は2014年4月にも消費税率を5%から8%に上げています。一つの政権で2度も消費税増税を強行したのは前例のない暴挙です。大増税で痛めつけられた国民の暮らしと日本経済は、いま新型コロナウイルスの感染拡大に直撃され、いよいよ危機的事態に陥っています。

 新型コロナの感染拡大防止と暮らしと営業を守る緊急対策を強化するとともに、経済の再生に向けて、いまこそ消費税率の5%への減税を決断すべきです。

景気悪化の引き金引く

 消費税の増税が日本経済の悪化の引き金になったことは隠しようがありません。消費税が10%に引き上げられた後の昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期(7~9月期)に比べ年率マイナス7・1%もの大幅な落ち込みになりました。家計調査の実質消費支出の低下や内閣府の景気動向指数の「悪化」もあらわです。厚生労働省が31日発表した有効求人倍率も前月に比べ低下しました。

 家計の消費支出は、消費税の8%への増税前に比べ、1世帯で年間約30万円も減少しました。8%増税がもたらした深刻な消費不況が続く中での10%への増税は、“失政”に“失政”を重ねたことに他なりません。

 安倍政権は10%増税の際、複数税率導入やキャッシュレス決済へのポイント還元などで、「万全」の対策をとったといいました。しかし、半年たってもキャッシュレス決済への登録加盟店は100万店舗を超えたところで、対象の半数以下です。中小企業の倒産や廃業、閉店も相次いでいます。「万全」の対策なるものによって、消費税増税による暮らしと営業への打撃が解消されなかったことは、この半年の経験が証明しました。

 消費税増税による景気悪化に追い打ちをかけているのが、新型コロナの感染拡大による急激な経済の沈下です。新型コロナ対策では、苦境に立つ国民の所得を補償することや損失を補てんする直接支援が急務です。さらに消費を拡大するのに有効な消費税率の引き下げを一刻も早く表明することが経済再生には欠かせません。

 政府の公式の景気判断である3月の月例経済報告は「厳しい状況にある」と認め、6年9カ月ぶりに「回復」という表現を削除しました。新型コロナ感染拡大の影響だけでは、この経済状況は説明できません。消費税増税が日本経済を低迷・弱体化させた事実はもはや動かせません。

 安倍政権は近く経済対策をまとめるとしています。しかし、安倍首相は20年度予算成立を受けた後の記者会見(28日)でも消費税増税は「全世代型社会保障改革に必要」だと言い張り、消費税の税率引き下げには応じません。安倍政権に消費税の増税が“失政”だったことを認めさせることが不可欠です。

広がる引き下げよの声

 共同通信が実施した世論調査では新型コロナの感染拡大に対する経済対策として最も望ましいのは何かという問いに、「消費税率を引き下げる」というのが第1位です(「東京」など29日付)。自民党支持層でも、消費税減税を支持する声が多数です。安倍政権はこうした声に応えるべきです。


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