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2020年2月28日(金)

新型コロナ イベント中止 関係者打撃

「つぶれてしまう」

経済支援求める声

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐとして、政府は今後2週間に多数の観客が集まる文化やスポーツ行事の中止、延期などを呼びかけています。法的根拠や強制力はありませんが、予定していたイベントの取りやめを余儀なくされ、関係者は経済的損失に頭を悩ませています。(取材班)

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(写真)新型コロナ対策のため、「当面の間、臨時休館」と張り出した九州国立博物館。人影はありません=27日、福岡県太宰府市

キャンセル料もらえぬ例も

 地方都市でオーケストラなどの音楽プロデュースをする男性は、「数百人を集めるパーティーへの出演依頼があり、演奏者を集めていましたが中止になりました。延期するということなので、キャンセル料はもらっていません。市内でのイベントは次々と中止になります」と話します。

 コンサートが中止になった場合は、チラシ作成やチケット払い戻しの経費も損失になります。当面は主催者側がキャンセル料などの損失を負い、自粛が長引けば仕事がなくなる演奏者の収入が減るといいます。「音楽家の収入は多くない。経済的にはつらいことになる」と苦しい状況を明かします。

 東京都内の劇団は、3月中旬に関東地方で予定されていた市民劇団の公演で道具製作や運営で協力しています。公演中止が決まったことで担当者は「自治体の判断で26日に急きょ中止が決まりました。約10人のスタッフを派遣する予定でしたが、一定の収入が得られなくなる」と困惑します。

 東京都内の音楽プロダクション社長は、主催するコンサートを中止しない、といいます。

 「主催者が中止するとチケットの払い戻しが必要になる。中小のプロダクションでは中止すると、利益が出ないどころかマイナスになり、あっというまにつぶれてしまう」といいます。中止すれば準備にかかった経費の負担や会場のキャンセル料(100%)、関係スタッフへの支払いも必要になります。「ただ、客からは『なぜ中止しないのか』と苦情がくる」とため息をつきます。

 所属するアーティストが出演予定だった、地方自治体主催のイベントもいくつか中止に。しかし自治体はキャンセル料を払わないとして、こう続けます。

 「キャンセル料を請求すると次から仕事がもらえなくなる。政府の『自粛要請』で大変な状況になっている業界への経済的支援が必要だ」


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