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2020年2月25日(火)

きょうの潮流

 近所に咲く紅白の梅が花びらを散らしています。関東では春一番もふき、季節の移ろいを感じます。「梅一輪一輪ほどの暖かさ」といいますが、記録的な暖冬のせいか今年は春の訪れも早い▼この頃になると、いつも読み返す本があります。動物行動学の草分けだった日高敏隆(としたか)さんの『春の数えかた』です。そのなかにある暖冬についてつづったエッセーが目にとまりました▼京都に住んでいたときの暖かな冬。日高さんは冬を越す昆虫たちに思いをめぐらせます。彼らの多くは、ただ冬の寒さに耐えて眠っているのではない。それは必要不可欠なものだ。一定の低温に何十日かさらされることによって、体内で変化が進み、冬の休眠からさめて春を迎えることができるのだと▼十分な寒さを過ごさなかったサナギはひ弱なチョウになってしまうといいます。暖冬は人間にとってはありがたいかもしれないが、昆虫たちにはたいへん不幸で何年もつづくと多くが滅びてしまうかもしれない。まして地球が恒久的に温暖化したら…▼いまや南極は初の20度超え、オーストラリアの山火事では10億匹以上の動物が犠牲になったと伝えられています。拡大する新たなウイルス感染も地球環境の破壊によるところが大きい▼日高さんは亡くなる前、こんな警鐘を鳴らしていました。人間はほかの動物とちがい、自然をいじって支配しようとする。だから、必ず何かその反作用がくる。人間という動物がどういう動物なのか、それを真剣に考える時期ではないか。


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