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2020年2月23日(日)

きょうの潮流

 成長していく自分の姿を心に描いていたのでしょう。この先も生きてゆくことを信じて疑わずに。「三月の終業式の日。あなたは漢字もできて、理科や社会も完ペキだと思います」▼父親からの虐待で亡くなった千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん。昨年1月に生を断ち切られる前、自分にあてた手紙を書いていたことがわかりました。通っていた小学校から父方の祖母が受け取り、マスコミに公開しました▼鉛筆で丁寧に書かれた「自分への手紙」。そこには「五年生になってもそのままのあなたでいてください」と。みずからを肯定していた心愛さん。それを否定され、しつけと称してふるわれた暴力。どんなにつらかったか▼傷害致死などの罪に問われた父親の裁判が始まりました。本人は起訴内容の一部を否認しましたが、罪状について争わず反省の意思を示しています。子どもを死に至らせるまでの暴力に向かわせたものは何だったのか。解明が待たれます▼何度も発信されたSOSは命を救う好機でした。検証では周りのおとながその声に応えなかったと報告されています。先日、神戸市の児童相談所が未明に助けを求めてきた女児を追い返しました。夜間業務を委託された職員には保護する権限がなかったことが問題になっています▼子どもを守る組織や体制をつくる。社会から虐待をなくしていく。それはおとなの責任です。心愛さんの手紙は最後にこうつづられていました。「未来のあなたを見たいです。あきらめないで下さい」


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