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2020年2月15日(土)

主張

70メートル超も軟弱地盤

辺野古基地の根拠また崩れた

 沖縄県名護市辺野古沿岸部に米軍新基地を建設するための地盤改良工事をめぐり、安倍晋三政権が不都合な地盤強度データを隠そうとしていたことが問題になっています。本紙日曜版9日号がスクープしました。海面下90メートルまで軟弱地盤が続く埋め立て予定海域内の地点について、防衛省がこれまでやっていないとしてきた地盤強度の試験を実際には行っており、その結果も今までの説明とは大きく異なる軟らかさでした。軟弱地盤の改良工事は可能としてきた根拠を揺るがすものです。

防衛相答弁はごまかし

 新基地建設のための埋め立て予定海域がある大浦湾には、「マヨネーズ並み」と指摘される軟弱地盤が大きく広がっています。軟弱地盤が海面下90メートルにも達する地点(B27)もあります。埋め立てには、大規模な軟弱地盤の改良工事が不可欠となっています。ところが、日本国内には、海面下70メートルまでの地盤改良工事に対応できる作業船しかありません。70メートルを超える改良工事はできません。

 防衛省はこれまで、B27地点の海面下70~90メートルの部分は軟弱地盤の中では「非常に固い粘土層に分類される」とし、「水深約70メートルの地盤改良工事を行えば十分に安定的な施工が可能」だとしてきました。(2019年3月22日、参院予算委員会、当時の岩屋毅防衛相)

 一方で、「非常に固い粘土層」との判断は、B27地点から150メートル、300メートル、750メートル離れた3地点から得られた土を使った室内試験の結果によるもので、「B27そのもの(の強度の検査)はやっていない」と説明してきました(同)。しかし、3地点とB27地点とは距離があり、地盤強度を推定するのはもともと無理がありました。

 今回、本紙日曜版が明らかにしたのは、実際には、防衛省の委託業者がB27地点から採取した土で地盤の強度を調べる試験を行っていたことです。しかも、試験結果では、海面下70メートルよりも深い層で、同省が示してきた地盤強度の3分の1程度しかない場所がありました。これは、地盤強度の6段階中2番目の軟らかさとされます。「安定的な施工が可能」とする根拠は成り立たなくなります。

 こうした試験結果は、防衛省が昨年3月に国会に提出した土質調査報告書(約1万ページ)の巻末資料の中に英文で掲載されていましたが、専門家でなければそれとは分からないものです。同省が大浦湾の地盤改良工事のために設置した有識者による「技術検討会」にも示されていません。データ隠ぺいと批判されるのは当然です。

 河野太郎防衛相は12日の衆院予算委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員の質問に対し、「(B27では)土の種類を確認するための物理試験を実施しているが、土の強度を測るための力学試験は行っていない」「受注者が船上において簡易な方法で行った」などと答弁しました。しかし、今回判明した試験結果のデータは、土の種類ではなく、地盤の強度を示す数値です。ごまかしは通用しません。

地盤の改良が不可能に

 防衛省は昨年末、地盤改良工事が必要になったため、新基地完成には12年かかるとの新たな試算を明らかにしました。しかも今回、地盤改良そのものが完成しない可能性が浮上しています。新基地建設の破綻はいよいよ明白です。


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