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2020年2月12日(水)

問われるプラットフォーマーの身勝手

公取の楽天立ち入り検査

 インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天への立ち入り検査に、公正取引委員会が乗り出しました。3月18日から3980円以上の商品の送料を一律「無料」にする計画を強引に推し進める楽天に対し、「採算が悪化する」と多くの出店者が団結して反対の声をあげたことで、局面は一変しました。

 楽天はネット通販システムを小売業者に提供し、売上高などに応じて手数料をとるプラットフォーマーです。

 プラットフォーマーはインターネットの発達によって生まれた新しい業態の企業です。無数の消費者と多数の事業者をネット上で結びつけて双方に便益を提供し、手数料収入や広告収入を得ます。

 楽天の場合、約5万の小売業者が販売する商品を一挙に検索できる“巨大商店街”を構築しています。数多くの商品を比較しながら手軽に探して購入したい消費者と、できるだけ多くの消費者に商品をみてもらいたい小売業者の双方にメリットをもたらしています。

 他方で、小売業者は楽天の規約を認めなければ楽天市場に出店できず、弱い立場に置かれています。楽天は出店者の同意なく規約を変更できると定めており、実際に変更を繰り返してきました。手数料の引き上げや最大300万円の罰金制度の導入などにより、出店者は不利益を被ってきました。極めつきが送料一律「無料」を強要する計画です。

 楽天が昨年8月に送料「無料」計画を具体的に発表して以降、多くの出店者が「優越的地位の乱用だ」と猛反発しました。楽天側は費用を一切負担せず、出店者に負担を押し付けて経営に大打撃を与える内容だったからです。出店者の有志は10月に任意団体「楽天ユニオン」を結成。今年1月22日にはのべ約4000人の各種署名を公取委に提出し、送料一律「無料」などの撤回を求めました。こうした出店者の訴えが公取委を動かしました。

 公取委の立ち入り検査を受け、出店者らは「三木谷(楽天会長兼社長)の経営手法にノーを突きつけ、昔の楽天市場を取り戻しましょう」と決意を強めています。

 楽天は1月末に公取委が調査を始めた後も「法令上の問題はないものと考えています」(2月7日)との見解を発表し、出店者の意見を無視し続ける姿勢です。問われているのは、取引条件の一方的な変更で利益を増大させてきたプラットフォーマーの身勝手なビジネスのあり方そのものです。(杉本恒如)

排除命令が相当

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 岩渕友日本共産党参院議員の話 昨年11月28日の参院経済産業委員会で、楽天市場の「送料無料ライン」導入問題について、出店者の実態を紹介し、是正を求めました。

 その後、楽天ユニオンはじめ、運動と世論の高まりがありました。

 公取委が立ち入り検査をしたのは、当然です。

 楽天はなお、「3月18日に実施する」としていますが、その前に公取委は独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で排除措置命令を出すべきです。


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