しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年2月3日(月)

きょうの潮流

 1冊の絵本が小学生の学ぶ意欲を引き出しました。私たちが親しんできた昔話の根底を覆した『空からのぞいた桃太郎』(岩崎書店)。桃太郎は正義の味方ではない、鬼は悪くないと▼自分の知っている物語とはちがう。5年生だった倉持(くらもち)よつばさんはびっくり。さらに解説を読むと、福沢諭吉や芥川龍之介、映画監督の高畑勲さんといった人たちも異なる見方を展開していました▼疑問を解こうと、よつばさんは夏休みの宿題として調べ始めました。近所や遠くの図書館にまで出かけ、司書の力を借りて70冊以上の桃太郎本を読み比べ。ほとんどが悪い鬼を退治するために鬼ケ島に行ったと書かれていました▼さらに江戸時代までさかのぼり、さまざまな文献を探します。すると、桃太郎は理由もなく宝物を奪い取るために行ったことがわかりました。そして日清戦争の頃から理由づけがされ、軍国主義的な桃太郎が好まれてきたことも▼悪と決めつけられてきた鬼。こんどはその謎を解明していきます。一連の学習で読んだ本は200冊超。その成果をまとめた『桃太郎は盗人(ぬすっと)なのか?』(新日本出版)は多くのメディアに取り上げられ、たくさんの手に取られています▼きょうは節分。地域や寺社によっては「鬼も内(鬼は内)」と豆まきするところも。人々は得体のしれないものや理解できないものを「鬼」とすることで心を安定させてきたといいます。しかし、ほんとうに払うべき邪気とはなんなのか。よつばさんに習い、思いを凝らしたい。


pageup