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2020年1月26日(日)

きょうの潮流

 青少年を手に入れるものは、未来を手に入れる―。あのヒトラー率いるナチ党は権力を握ると、千年王国をつくるために若者たちの教育に着手しました▼強じんな肉体とナチスへの奉仕と献身、そして「人種的優越」の確信。男子は祖国のために死をいとわない将来の兵士、女子は総統のためにたくさん子を産む将来の母へと徹底的に教育されました(『ナチ独裁下の子どもたち』)▼こうしたナチ的人間を育てた青少年組織が「ヒトラー・ユーゲント」でした。10歳から加入が義務付けられ、ナチズムによる偏見や差別がやわらかな心に植えつけられました。それは神の国、聖戦と信じ込まされ、戦争に駆り出された日本の若者にも共通しています▼公開中の「ジョジョ・ラビット」。アンネ・フランクを思わせるユダヤ人少女との交流によって、ヒトラー・ユーゲントの少年が悪夢から解き放されていく姿を描いています。喜劇仕立ての映画にしたマオリ系ユダヤ人の監督は、寛容について教えることはおとなの責任だと▼「2千年の長きにわたって一つの民族、一つの王朝が続いている国はここしかない」。またも暴言王、麻生副総理の口からナチスばりの妄言がとびだしました。万世一系の天皇の国、単一民族の国家を強調したものですが、そうした排外がいかに危ういか▼命を選別する優生思想によって障害者を殺りくした植松被告は裁判で正当性を主張し続けています。人びとに差別や憎悪を吹き込む世界に未来はない。歴史の証明です。


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