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2020年1月12日(日)

野党連合政権めざして

山形県労連 本気で選挙

要求実現へ政治変える

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(写真)市民と労働者の決起集会=2019年7月13日、山形市内

 野党連合政権実現をめざし、労働組合が要求での一致を基礎に共闘選挙に積極的に取り組む動きが注目されています。山形県では―。

 「いよいよここまできたのか―。身震いがする、心が震えるような思いがした」。全労連議長の小田川義和さんはこう振り返ります。

 昨年7月13日、参院選山形選挙区のたたかいの最中に開かれた、野党統一候補・芳賀(はが)道也さんの勝利を目指す「市民と労働者の決起集会」に小田川氏が駆け付けました。集会には、芳賀候補と2016年参院選で野党統一候補として勝利した舟山康江参院議員・芳賀総合選対本部長が参加。市民連合と県農民連の代表者らも参加しました。主催したのは山形県労連と同医労連です。

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(写真)小田川義和全労連議長

 県労連は6月4日に、芳賀氏と安保法制廃止、消費税10%増税反対、裁量労働制廃止や最低賃金制度の抜本的改善など5項目の政策合意書を交わしました。続く5、6日には、県労連加盟の県内労組代表者会議を開き、芳賀氏の推薦を確認。共闘選挙の一翼を担ってたたかう体制を固めていました。

 小田川氏は語ります。「2016年の共闘選挙から、労働者の要求実現の観点で、実現した野党統一候補の選挙に協力する方針を打ち出してきました。ただ、その実践のあり方は多様であり、県労連が主体となって候補者勝利の決起集会を開くことまでは考えていませんでした。市民と野党の共闘を実現することで、自分たちの要求を実現するという構えが、正面から議論された結果だと思いました」

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(写真)勝見忍山形県労連議長

 決起集会を主催した山形県労連議長の勝見忍さんは述べます。「労働組合は、資本からの独立、政党からの独立、共通の要求での行動の統一が原則で、組合員の思想信条の自由の保障と特定政党支持の押し付け排除は重要な原則です。その一方で、労働組合として選挙から遠ざかってきた側面があるのではないかという問題意識がありました」

 勝見さんは「違憲の安保法制の廃止、全国一律最低賃金の実現や非正規労働の縮小はじめ働き方の問題、これらを真剣に実現しようと思ったら、選挙に本気で取り組み、政治を変えるしかない」と力を込めます。

「共闘で政権」を課題に

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(写真)市民と労働者の決起集会=2019年7月13日、山形市内

 小田川議長は話します。

 「全労連は、一致する要求・課題に基づいて政党と共同行動するとしてきました。それをさらに進め『統一戦線をめざす』とする綱領を持っています。特定政党支持の押しつけが破綻し、共闘の時代を迎えているいま、要求実現と統一戦線をめざす立場から、連合政権そのものを運動の課題として掲げ、安倍政権に代わる憲法遵守の政治の実現を求めていく。そのためにも、政治活動の自由、後援会活動の自由を保障することが大切です」

 共闘候補として決起集会であいさつした芳賀参院議員は、その時のことを振り返りこう述べます。「労働組合の皆さんが、自分の労働条件の問題だけでなく、医師・看護師不足をはじめ、地方における医療の危機的状況全体の改善に強い思いをもって選挙に臨んでいる。それをひしひしと感じた場面だった」

 山形県労連に参加する自治労連の組合員の一人(男性30代)は「消費税や、介護、最低賃金問題などで、私たちの声を国政に届け、政治を変えてくれる人ならと、積極的に芳賀候補の選挙に取り組みました」と語ります。「私自身、高齢の父を介護し、職場でも在宅介護や子ども食堂の運営にかかわっていますが、現場は本当に大変です。大企業の方を向くのではなく、社会保障・福祉の切り下げに苦しんでいる市民の声を代表してくる人を勝たせることができて純粋にうれしい」

 昨年7月の参院選挙では、全労連加盟の地方組織で野党統一候補の推薦を決めたところは10組織、支持5組織、支援6組織でした。その中で、2016年にはなかった新たな発展として、統一候補と政策協定を結んだところが2組織生まれました。それが山形と岩手です。

 いわて労連も昨年6月18日、7月の参院選にむけ岩手選挙区(1人区)の横沢たかのり候補と13項目の政策協定書を交わし、横沢氏当選に向けて全力をつくすと合意しました。

 また山形では、県労連のほか、県医労連、県民医連、山商連(山形商工団体連合会)が、芳賀氏と政策協定を結び、県農民連が政策要望書を提出。そのうえで各団体が推薦を機関決定しました。

 2015年の安保法制反対のたたかいで、県労連と県平和センター・市民団体との持続的な共闘が始まり、やがて県内50団体が参加する共闘組織「戦争やんだ山形の会」に発展。16年参院選では、「会」を母体に、舟山候補の市民選対をつくろうという動きも起きました。ただ、このときは「一緒にやるのは難しい」という一部の意向もあり、県革新懇加盟の諸団体は、舟山候補と政策合意のうえ推薦、支持を決め、独自の選対がつくられました。

 また、そのときは署名による明確な協定書作成にはいたりませんでしたが、19年には、県労連などが芳賀候補との政策協定締結、推薦決定に前進。諸団体も参加する決起集会が開かれたのです。

 勝見県労連議長は、「この集会は、公選法上の個人演説会として開催しました。連合や立憲民主党などでつくる総合選対のほうで認知してもらう必要がありました。総合選対関係者からも『ぜひ成功させてほしい』と言われ、芳賀、舟山両氏の垂れ幕も貸してもらい、連合の単産の担当者からノウハウも親切に教えてもらった」と振り返ります。労組としての取り組みの前進と共闘の深化は一体でした。

 勝見氏は、「舟山氏も、芳賀氏も無所属の候補だったことで推薦決定は進めやすかった。今後、政党の公認候補が統一候補になる場合に、どんな議論をするかが課題になる」と語ります。

 全労連・県労連はじめ、各地で共闘候補の推薦や支持を決めて奮闘した諸団体は、革新懇の構成団体でもあります。民主・平和の日本へ、統一戦線結成を目指す革新懇運動は、35年を超える歴史の中で、いま初めて本格的な共闘の時代を迎えています。野党連合政権の実現を目指し、草の根の地域革新懇の活動を強めながら、全労連はじめ革新懇参加団体が、選挙を正面に置いた取り組みを各地で強めています。(中祖寅一)


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