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2020年1月3日(金)

主張

被爆75年の新年

核兵器廃絶への扉を開く年に

 今年は、第2次世界大戦末期にアメリカが広島と長崎に原爆を投下してから75年です。核兵器のない新しい世界への扉を開く転換の年にしていくことが重要です。

世界は動いている

 中米カリブ海の島国セントビンセント・グレナディーンは昨年、核兵器禁止条約を批准しました。同国のラルフ・ゴンサルベス首相は、昨年の国連総会で次のように演説しました。

 「大きく豊かで強力な国々の目に、(小国は)どうでもいい小石のように映ってきた」「(しかし、今や大国は)長きにわたり届かなかった声―人民と進歩、共同と(国連の)原則を代表する私たちの声―に耳を傾けなければならない」

 セントビンセント・グレナディーンの国土面積は、東京23区の3分の2ほどです。国際政治で大きな影響力を持っていたわけでもありません。しかし、この格調の高い、自信に満ちた「小さな国」の演説は、世界がいま、大きく変わりつつあることを示しています。

 核兵器の交渉は長い間、アメリカ・旧ソ連の両大国が主導権を握っていました。しかも、その中身は、核兵器廃絶ではなく、核独占体制の維持や核軍拡競争のルールづくりにすぎませんでした。

 それだけに、核兵器禁止条約が2017年、国連加盟国の圧倒的多数の賛成で採択されたことは画期的な出来事でした。交渉の「主役」が一握りの大国から、大小を問わない多数の国々と市民社会に「交代」したのです。

 米ロなど核大国はいま、核兵器を使用する姿勢を強め、新型核兵器の開発なども進めようとしています。核軍縮の見通しに悲観的な声も聞かれます。しかし、核軍縮の分野でも、植民地体制の崩壊など20世紀に起きた「世界の構造変化」が生きた力を発揮し始めているのです。この大きな方向にこそ、「核兵器のない世界」への希望と展望があります。

 世界の反核平和運動は、核兵器廃絶をめざす諸国政府とも共同して、被爆75年を転換の年とするために全力をあげています。

 今年は、5年に1度の核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。191カ国が参加する同会議は、重要な国際交渉の一つです。これに合わせ、ニューヨークで原水爆禁止世界大会を開く準備が進んでいます。呼びかけ人には、日本原水爆被害者団体協議会、原水爆禁止日本協議会、原水爆禁止日本国民会議の3団体代表も名を連ねています。被爆者を先頭とする共同の発展は、内外の運動を激励し、注目と期待を集めています。

 昨年の広島・長崎の原水爆禁止世界大会には、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」代表も参加しました。市民と野党の共闘をさらに発展させ、核兵器禁止条約に署名、批准する政府をつくるうえでも、今年は重要な年となります。

若い世代が変える

 地球的規模での気候変動の危機を止めようと、世界で多くの若者が立ち上がっています。人類を救うという意味では、核兵器廃絶の運動とも共通する精神があります。日本でも若者たちが、被爆者の声と意思を受け継いで行動しています。今年は「ヒバクシャ国際署名」がゴールとする年でもあります。反核運動の新たな飛躍が期待されています。


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