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2019年12月31日(火)

主張

「災害国」の1年

国民の命守る体制整備を急げ

 2019年は台風の猛威が際立った年でした。暴風が大きな被害を出した9月の台風15号、すさまじい大雨で東日本を中心に甚大な被害を引き起こした10月の台風19号―。深刻な爪痕はいまも生々しく、仮設住宅で越年する被災者は数多くいます。6月には山形県沖を震源として新潟県村上市で最大震度6強を観測する地震が発生し、多くの家屋が被害を受けました。災害から国民を守る政治の役割がいよいよ重要です。

記録的な大雨と暴風で

 大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸した台風19号は、関東甲信越や東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨をもたらしました。数十年に1度のような、経験したことのない危険な大雨の際に発表される大雨特別警報は13都県に出されました。昨年の西日本豪雨の11府県を上回るものでした。

 国が管理する河川をはじめ各地で氾濫や堤防決壊が相次ぎ、広い範囲で住宅や農地が濁流に襲われました。被災者の生活や生業(なりわい)の復旧は困難を極めています。実情とかみ合った公的支援を強めることが急務です。

 自治体のつくったハザードマップなどで危険が指摘されていたところ以外でも、浸水や土砂崩れの被害が出たことを直視する必要があります。台風や豪雨のいっそうの激甚化がいわれるなかで、各地域での防災と避難のあり方の総点検と見直しが求められます。

 19号に先立つ台風15号は千葉県を中心に猛烈な風雨による被害をもたらしました。屋根が吹き飛ばされた家が続出するとともに、鉄塔の倒壊などで千葉県を中心に最大93万戸が停電しました。長期にわたる停電は住民生活に打撃となり、猛暑とも重なり命が脅かされる事態もありました。ライフラインの保全と復旧体制を強化することの重要性を改めて浮き彫りにしています。

 8月末に佐賀県など九州北部地方を中心に襲った記録的な大雨も深刻でした。

 甚大な被害と犠牲を生んだ今年の台風・豪雨被害は、国民の命を守る体制がまだまだ万全でないことを示しています。

 被災者の支援のしくみも遅れています。一人ひとりの被災者の実情に合ったきめ細かい対策が求められます。被災者の医療費の一部負担免除などを機械的に打ち切ることはやめるべきです。

 被災者生活再建支援制度を改善して住まいへの公的支援を抜本的に拡充する、農林漁業への対策を強め、中小企業への補助を引き上げることも不可欠です。

 治水や河川改修のあり方、自治体職員の体制強化など、さまざまな分野での従来の防災のしくみの見直しが必要です。

気候危機に真剣な対応を

 12月にスペインで開かれた国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の開催中、ドイツの環境シンクタンクは、2018年の気候変動による災害で一番被害を受けた国として日本をあげました。西日本豪雨や猛暑が理由です。

 これまでと異なる規模で発生する災害が相次いでいる以上、いままでの延長線の発想では対応できません。それにふさわしい災害への備えとともに、地球規模での気候変動危機打開へ真剣にとりくむ政治への転換が急がれます。


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