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2019年12月29日(日)

きょうの潮流

 信じがたい判決が出ました。中学時代に暴行・恐喝行為を連日受け、今もフラッシュバックに苦しむ佐藤和威さん(20)。佐賀地裁は20日、市に対する損害賠償請求を棄却したのです▼教師や学校には早期発見義務があるのに、「いじめと認識できなかった」などとして免責する裁判所。「プロレスごっこ」をする。掃除の時間にほうきでたたく。授業中のこぎりを振り回す…。これらは「中学1年の男子にはよくあること」などとして、社会通念上許容されるとの判断は、一体どこからくるのか▼同市の教育長は当初、いじめの範囲をこえた「犯罪」だと認めていたのに、提訴を受けて態度が一変。しかも、市の責任を免れた教育長は、判決後の会見で「ほっとした」とのコメント。心も体もズタズタにされた被害者に、心を寄せることもできないのか。こんな姿勢が学校を覆い、教師にしみ込んでいく。子どもたちは救われません▼判決で認められたのは、加害生徒に対する最低限の損害賠償のみでした。見て見ぬ振りのおとなの無責任さも相まって、行為がエスカレート。もっと早く、彼らを止めることができていたらとの思いも▼自殺企図もある佐藤さんですが、記者会見の場で名前も顔も公表しました。正当な判断をと25日、家族とともに福岡高裁に控訴。自分や心ない中傷を受ける家族のためだけではない。今いじめられている子どもたちの命を守りたいから▼「僕自身はこれからも前に進み続けたい」。振り絞ったその思いに応える、大きな人の輪を。


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