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2019年12月22日(日)

「妊婦加算」が廃止へ

窓口負担問題解消せず

 妊婦が医療機関を受診すると窓口負担が増える「妊婦加算」について、厚生労働省は来年4月から再開せず事実上廃止する案を20日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に示し、大筋了承されました。

 妊婦加算は、「妊婦税だ」「少子化対策に逆行する」といった批判が殺到し、今年1月から凍結していたものです。問題の背景にある、現役世代で3割という高すぎる窓口負担や、産科など疲弊した地域医療の問題は解消しないまま“幕引き”を図った格好です。

 妊婦加算は、外来受診した妊婦への慎重な対応や配慮を評価し、診療報酬(保険診療時の医療行為や薬への対価)を加算するもので昨年4月に導入。コンタクトレンズの処方でも加算されるなど不適切な事例もあったため反発を浴び、凍結に追い込まれていました。

 厚労省は、来年4月の診療報酬改定と合わせて対応を検討していましたが、事実上の廃止を決めました。代わりに、妊婦に限らず患者の治療内容や検査結果を医療機関同士で情報提供した場合に診療報酬を増やす仕組みを導入する方針を示しました。情報提供に応じて患者負担は増えることになります。

 妊婦加算をめぐっては同省の有識者検討会が今年6月、妊産婦の自己負担が妊娠・出産への「ディスインセンティブ(阻害要因)とならないように」すべきだと議論をまとめ、妊産婦への医療費助成が岩手、茨城など4県で実施されていることに言及していました。

 しかし、厚労省は国としての医療費助成には踏み出さないうえ、来年4月の診療報酬総額の削減を決めるなど地域医療の疲弊に拍車をかけています。


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