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2019年12月20日(金)

海水の酸性化進行で…

サメが“つるつる肌”!?

研究グループ 摂食に影響の恐れ

 石油や石炭の燃焼で発生する二酸化炭素が海水に溶けて海水の酸性度が高くなることが予想され、生物への影響が心配されています。ドイツのハインリッヒ・ハイネ大学などの国際研究グループが、海水の酸性度が将来予想されるレベルになるとサメのうろこが溶け出す可能性があることがわかったと、20日付の科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に発表しました。

 現在の一般的な海水は、酸性度の指標となる水素イオン濃度(pH)でみると8・1程度のややアルカリ性の状態を保っていますが、人為的な二酸化炭素の放出が今のまま続けば2300年までに7・3程度まで酸性化すると考えられています。海水が酸性化すると貝殻や骨、歯などの成分となる炭酸カルシウムがつくりにくくなるため、海にすむさまざまな生物に影響がでると懸念されています。

 研究グループは、南アフリカの沿岸にすむモヨウウチキトラザメを使って、pHが7・3の海水で飼育したらどうなるか実験しました。モヨウウチキトラザメがすむ海は、二酸化炭素濃度の高い深海の海水が上がってくる場所で海水の酸性度が高く、ときにはpHが6・6程度になることがあります。

 実験の結果、サメの皮膚を覆っている小さな歯状の突起でできているうろこが溶けて損傷している割合が、通常の海水で飼育したサメに比べ高くなることがわかりました。

 うろこの損傷は皮膚の保護に影響するだけでなく泳ぐ速度にも影響するため、研究グループは、外洋に生息するサメの遊泳能力を損なう可能性があるといいます。また、うろこは歯と同じ成分なので、摂食に影響が出る恐れもあるとしています。


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