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2019年12月17日(火)

厚労省 介護保険制度見直し案

経団連 「まずは『自助』」主張

利用者・家族 負担増・利用抑制に懸念

 厚生労働省が介護保険制度の見直しに関するとりまとめ案を提示した16日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会では、経団連の委員などからさらなる給付抑制を求める意見が相次ぎました。

 経団連の井上隆常務理事は、とりまとめ案で、経団連が求めてきた▽ケアプラン作成の有料化▽軽度者(要介護1、2)の生活援助サービスの総合事業への移行▽2割負担の対象者拡大―が、引き続き検討とされたことに「大変残念だ」と強調。「(介護の財源に)打ち出の小づちはない。まずは『自助』、次に『共助』ということを念頭において、検討していくべきだ」と語り、国民一人ひとりに自己責任を求めました。健康保険組合連合会の河本滋史常務理事も「見直し案は踏み込み不足。さらに踏み込んだ見直し案を提示すべきだ」と主張しました。

 こうした意見に対し、「認知症の人と家族の会」の花俣ふみ代常任理事は、「要介護1、2の人は『軽度者』ではないと繰り返し申し上げてきたが、ご理解いただけず、大変残念な思いでいっぱいだ」と強調。総合事業への移行が引き続き検討とされていることについて「到底受け入れることができない」と訴えました。

 花俣氏は、この間進められてきた介護施設の食費・居住費の自己負担導入、一定所得以上の介護利用の2割負担導入などのたびに、配偶者や扶養家族に与える経済的な影響が問題になってきたことをあげ、さらなる利用者負担増に懸念を表明。高額介護サービス費の上限引き上げがとりまとめ案に盛り込まれたことについても、政府が利用者負担増を持ち出すたびに高額介護サービス費があるので負担は増えないと説明してきたことを指摘しました。

 全産業の平均給与月額と比べ約10万円も低い介護職員の処遇について、とりまとめ案が引き続き改善が必要としたことについても経団連の井上氏は「(この間の処遇改善の効果が)新規の人材確保にどの程度あったのかという検証なしに、そういう話をするのはおかしい」と主張。一方、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの久保芳信会長は、「介護人材の確保、定着のための最大の処方せんは処遇改善にある」と訴えました。


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