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2019年12月12日(木)

きょうの潮流

 今年の大河ドラマも次回で大団円を迎えます。話の筋が入り組んでいる、テンポが早すぎる、視聴率が上がらない…。そんな批判を浴びた「いだてん」でしたが、いくつもの大切なメッセージがちりばめられていました▼前回は64年東京五輪の聖火リレーを柱に展開。発祥の地アテネから、先の戦争で日本が侵略したアジア各国を回って沖縄に着いた平和の灯。その後、コースを分けて全国で10万人がつないだ聖火は最終走者、坂井義則さんの手に▼原爆が落とされた8月6日に広島で生まれた坂井さん。「アトミック・ボーイ(原爆の子)」と呼ばれた彼を大役にすえることを組織委員会は当初ためらったといいます。過去の戦争をむしかえすことは米国の心証を悪くすると▼ドラマは五輪招致に尽力した主人公の田畑政治(まさじ)さんに言わせます。「アメリカにおもねって原爆への憎しみを口にしえない者は、世界平和に背を向ける卑怯(ひきょう)者だ」。アジアにリレーを通したのも日本が「ひどいこと、むごいことをしてきた」との思いから▼どんなときも選手第一、政治を介入させてはいけない、国や人のためではなく自分のためにやる―。スポーツやオリンピックの見方に限らず、女性アスリートの歩みや負の歴史まで、発信された数々は大いに共感できるものでした▼国連は9日の総会で「五輪休戦決議」を全会一致で採択しました。人類の理想をこめた平和の祭典。それをリレーしてきた人びとの存在や太く流れるオリンピックの意義をかみしめたい。


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