しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年12月10日(火)

主張

臨時国会閉幕

私物化疑惑の幕引き許されぬ

 参院選後初の本格論戦の舞台となった臨時国会が閉幕しました。9月の内閣改造や自民党役員人事を受けたこの国会では、菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相が「政治とカネ」の問題で辞任し、安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化疑惑が噴出するなどモラル崩壊の政治が厳しく問われました。一方、トランプ米大統領の圧力に屈した日米貿易協定の承認などは強行したものの、安倍首相が執念を燃やす自民党改憲案の国会提示はできず、大学入試への英語民間試験導入も延期になりました。国民の声に逆らう安倍政権をさらに追い詰めるたたかいが続きます。

安倍政治の破綻鮮明

 日本共産党など野党は国会最終日、40日間会期を延長して「桜を見る会」をめぐる疑惑を引き続き審議するよう求めましたが、与党は応じませんでした。“数の力”で悪法は押し通し、疑惑には幕を引こうという安倍政権の姿勢を許さないことが重要になっています。

 内閣改造から2カ月足らずで2人の閣僚が辞任したのに続き、大問題になった安倍首相自身の「桜を見る会」疑惑では、税金を使って後援会員を接待したことなど、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いが濃厚になっています。それにもかかわらず、国会を閉幕したのは、国民に対する重大な背信です。

 国会開会直前の10月1日に強行された消費税率の10%への引き上げは、懸念された通り消費を冷やし、景気を一段と悪化させています。先週末発表された総務省の10月分の家計調査は前年同月比で5・1%も減少し、2014年4月の前回増税時を上回りました。内閣府の景気動向指数も10月の速報値で前月より5・6ポイント低下し、東日本大震災があった11年3月やリーマン・ショック後の09年1月に次ぐ下げ幅でした。国民の暮らしを守り、日本経済を再生させるためにも、消費税率を5%に引き下げることの緊急性が国会論戦を通じて鮮明になっています。

 アメリカに一方的に譲歩した日米貿易協定などの承認案を、審議の前提となる日本の農畜産業への影響試算も出さず短期間で成立を強行したことも言語道断です。日米貿易協定でアメリカからの牛肉や豚肉などの輸入が増えれば、日本の農畜産業が壊滅的な打撃を受けるのは明らかです。しかも今後の交渉次第でコメなどの輸入拡大も予想されます。日本の経済主権と農業・食料を守るたたかいが急務です。

 公立学校の教員に変形労働制を導入する教員給与特別措置法の改定は教育現場の実態を無視し多忙化に拍車をかけるものです。

またも改憲案提示できず

 臨時国会での野党の結束した論戦は、政治を私物化する安倍政権の異常な姿を浮き彫りにしました。最新の世論調査で内閣支持率が軒並み低下したように、国民の不信は高まるばかりです。

 安倍首相は国会冒頭の所信表明演説で、憲法審査会での改憲論議を要求しました。憲法尊重擁護の義務も「三権分立」の原則も踏みにじるものです。首相が狙った自民党の改憲案提示は、今国会でも阻まれました。4国会連続です。国民が望まないのに改憲に固執する政治私物化の破綻は明らかです。

 「桜を見る会」疑惑などを閉会後もさらに徹底追及し、安倍政権を一日も早く退陣させましょう。


pageup