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2019年11月29日(金)

きょうの潮流

 今、新宿御苑が春に劣らぬ彩りです。カエデの赤が池の水面に映え、イチョウは黄金色に輝いています。秋冬に咲くサクラも花開いています▼御苑の歴史は江戸時代にさかのぼります。徳川家康が譜代の家臣、内藤清成(きよなり)に江戸城西門の警護を命じ、この地に広大な屋敷を与えたのが始まりです。西に甲州街道が延び、東には江戸の出入りを見張る赤坂見附、四谷見附。交通の要衝に置かれた防衛拠点でした▼明治期には国の農業試験場となり、後に大庭園に改造されました。入園料が今年3月に200円から500円に値上がりしたのは残念ですが、今は誰もが季節の花や草木をめでつつ心静かに散歩を楽しめる国民の庭園です▼アルコール飲料は持ち込み厳禁。花見の時期には酒類を持っていないか、入り口で「セキュリティーチェック」があるほどです。そんな御苑から民を締め出し、仲間内で酒宴を開いて特権を誇示する浅ましさ。安倍首相は恥ずかしくはないのでしょうか▼御苑の千駄ケ谷門外に「新井白石終焉(しゅうえん)の地」の案内板が立てられています。江戸時代、6代、7代将軍のブレーンとして活躍した学者です。将軍の代替わりによって江戸城を追われ、ついの住みかとして与えられたのが、農地が広がっていたここでした▼小藩の家臣の子として生まれ、博識を買われて権力の中枢にのぼった白石。財政を引き締め、身分をかさに着る幕閣に厳しい態度で臨んだといわれます。現代の「桜を見る会」に泉下でさぞ怒っていることでしょう。


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