2019年11月26日(火)
きょうの潮流
〽一つとせ~/人の上には人ぞなき/権利にかわりがないからは/この人じゃもの―。土佐の自由民権運動を代表する植木枝盛がつくった民権かぞえ歌です▼富国強兵に突き進んだ明治の時代にあって枝盛は人間の自由や人権の大切さを説きました。そして、人民が無気無力になり、政治に関心をもたなくなって政府に任すようになると国は弱体化してしまう、みずから声をあげようと▼だれひとり取り残さない、ここで一緒に生きよう。35歳の青年の訴えは日を追うごとに共感をひろげました。市街地だけでなく海辺や山あいの町や村をかけめぐり、自分たちの手で新しい高知県政をつくろうと呼びかけた松本顕治さん▼3期12年の実績ある前知事が前のめりになって支えた相手に敗れたとはいえ、その夜の松本事務所は今後につながる確信と明るさに満ちていました。かけつけた支援者も「希望と財産を残してくれた選挙」だったと▼これまで培ってきた市民と野党の共闘もさらに深化しました。各地で地域の選対が組織され、50人をこえる各党の国会議員が来県し応援。がっちりとスクラムを組み、選対本部長を務めた広田一衆院議員は「みんな自分が立候補したかのように訴えてくれた」▼選挙中、松本さんには忘れられない出会いがありました。ある集落でお年寄りの女性から手を握られ、いわれたひと言。「私らのことを置いていかんとって」。この地に流れる人を尊重する気風を胸に次のたたかいへ。線から面にひろがった共同の力で。








